ゲラゲツァの本質を知るとオアハカが見えてくる。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

オアハカを楽しむなら・・・(笑)

オアハカの民族衣装を着てダンスをする男性と女性

近年、

オアハカに関する旅行案内もよく目にするようになりました。

日本ではテレビでも放映される機会が増えたようですね。

ところで皆さん、

なんでオアハカに行きたいと思うのでしょう?

メディアで有名だからとりあえず?

“メキシカンラグ”?

“アレブリヘ”?

“先住民”?

中心部の“キレイ”な街並み?

 

オアハカに限らずですが、

表面的で薄っぺらいメディアの内容を鵜呑みにせず、

民族や歴史など、

本質的な所をみると、

自ずと行くべき理由が分かるんです。

そして心から楽しめます。

 

ゲラゲツァ。

Guelaguetzaと書きます。

 

ウッカリしていまして、

コレについて書くのを忘れていました。(苦笑)

実は7月にコレに行く予定でいたのですが、

コロナで延期になってしまったのです。(沈)

 

当面延期ということで、

もしコロナの状況がよくなれば、

12月に開催されるとのこと。

 

それでコレとは何かというと、(笑)

オアハカで行われるのお祭りなんです。

有名なお祭りで、

国内外から多くの観光客が訪れます。

 

統計によると、

昨年2019年には、

約15万人の観光客がこのお祭りの為に集まり、

オアハカ市内のホテルも91%の稼働率でした。

しかも昨年は対2018年比で17%以上も観光客数が増えたというこも、

その知名度が年々高まっている証拠ですね。

その経済効果も4億1700万ペソ

日本円で25億ぐらいです。

 

てなわけで、

オアハカの人達にとっては

一年のうちで最も忙しく大切な時期の一つであるんですね。

 

そんな有名なメキシコの、オアハカのお祭りという事だけあって、

日本語でも色んなサイトやガイドブックでも紹介されていると思います。

 

でも大体どれも、

「トウモロコシの神様に捧げられていた」とか、

「豊作祈願」のため

と書かれています。

 

それもありますが、

本質はもっと別の所なんです。

 

その本質が見えないと、

「なんでオアハカで開催されるのか」

とか、

「なんで様々な民族衣装をまとって、しかも各地域から参加するのか」

とか、

「そもそもなんでゲラゲツァがそんなに有名なのか」

という疑問が出て来るんです。

 

だって、

トウモロコシや豊作の為のお祭りなら、

べつにオアハカ以外でも行われていたわけで、

それを現代も盛大に、

国際的なイベントとしてやっているかと言ったら、

やっていないですよね。

 

ゲラゲツァという固有名詞は、

オアハカ地方の言語の一つサポテカ語が語源で、

「助け合い」とか、

人生における重要な局面、

例えば結婚や生誕、そして逝去、

そのような状況における

人間の相互関係や作用を意味します。

 

それで何でそんなに多くの人を集めて「お祭り」をやるのかというとですね、

ゲラゲツァとして祭典を始めたのが88年前の1932年です。

元の元をたどれば、

メソアメリカ時代にトウモロコシの神様が祀ってあった社の上に建てられた、

カトリックの教会のお祭に端を発するのですが、

今に繋がるゲラゲツァとして始まったのはその年です。

 

それで、

なんでその年にゲラゲツァとして始めたのかというと、

その年に、

いくつかの状況が重なったからんです。

 

まず、

前年1931年にオアハカ大地震が起こりました。

この地震により、

オアハカ経済は大打撃を受け、

家や仕事を失い生活に困窮する人が多く出ました。

これにより、

首都や他の州に移住を強いられた人たちも少なくありませんでした。

その為、

オアハカ政府は震災後の経済復興の為に旅行客を呼び込もうとしたのです。

 

二つ目に、

1932年というのは、

その400年前の1532年に、

当時のスペイン王カルロス1世から

“市”として認められた節目の年だったのです。

 

三つ目は、

オアハカの文化や人は、

スペイン人の入植から1910年の革命まで、

「遅れたもの」

として扱われていました。

革命後、

オアハカ政府はヘナロ、フランシスコ両知事の元、

オアハカの尊厳回復に努めていました。

 

まとめると、

1.震災復興

2・“市”としての400年記念

3・メキシコが誇れるオアハカ文化の尊厳の向上と宣伝

を目的として

1932年に第一回ゲラゲツァを催したのです。

 

現在も、

もちろん経済効果は狙いの一つですが、

3の要素が根底にあります。

 

オアハカは8つの地域からなります。

険しい地形のために各地域間の交流がままならず、

しかしそれ故に気候の変化に富み、

様々な動植物が生息する州です。

それがこの州の各地域を特徴豊かなものにした要因です。

 

この州の8つの地域には、

今でも16の言語が話されています。

ということは、

8から更に細分化された16の文化があるという事なんです。

16の文化ですよ!

 

ゲラゲツァは、

こうした超多様なオアハカの文化を一つに纏める行事なのです。

彼らが披露する民族舞踊や歌、衣装から産品まで、

このゲラゲツァというお祭りを通じ、

超多様なオアハカ文化を各々が“表現”し、

そしてある種の“抗議”を行っているんです。

抗議というのは、

過去に、そして現代に至るまで排斥されてきた歴史を持つためで、

オアハカのどの地域に住むどの文化の人達も、

自身の文化への誇りと、

自分達もメキシコの歴史と社会の一部である、

という訴えなんです。

ゲラゲツァという祭典は、

オアハカの人達にとって自文化への団結と誇りを意味するのです。

 

政府と現地の人達の利害が一致し、

88年経った今日まで続いているお祭りなんですね。

 

だ・か・ら、

オアハカで行われる意味があり、

オアハカの各地域の人にとって大事なお祭りであり、

世界でも知られているのです。

 

いかがでしょう。

無数に溢れかえった情報と、

本質的な意味が違うことがお分かり頂けましたでしょうか。

 

今年は難しいですが、

ぜひぜひ、来年以降にいらして下さい。

現地も僕も(笑)混みあいますので、

ご予約はお早めにお願いします~。(笑)

 

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