メキシコ経済の7%担う“小さな巨人達”
先日ちょっと書きました零細小売店の話の続きです。
メキシコにはTiendita(ティエンディタ)という小売店が、
なんと120万店!
もあるという話でしたね。
Tienditaは、
Tienda(ティエンダ=店)というスペイン語の単語から来ていて、
語尾にITAを付けて意味合いを小さくしています。
つまり普通の“店”よりも、
“さらに小さい”店なんです。
普通の店というのは、
日本の例に例えるならば、
コンビニとか、
街の魚やさんとか、
雑貨やとか。
Tiennditaですと、
おばあちゃんがやっているような駄菓子屋さん、
というところでしょうか。
僕が子供の頃は、
お小遣いの100円玉を握りしめて、
うまい棒を10本とか、(苦笑笑)
買っていました。
呼び方もいろいろあって、
Tienda de abarrotes(ティエンダ・デ・アバロテス)、
Miscelaneas(ミセラネアス)、
Esstanquillo(エスタンキジョ)、
あとはTendero(テンデロ)
なんて言ったりもするんです。
昨年の10月の時点でメキシコ全土に約120万店あるわけですが、
分かりやすい数字と比較すると、
日本のセブンイレブンでさえ全国で約2万1000店、
大手4社の合計でも5万4000店弱なのです。
そして、
メキシコのコンビニチェーン最大手のオクソ(OXXO)。
これが全国に18,000店弱あり、
業界ダントツ一位。
2位のセブンイレブンが2,000店、
3位のサークルKがEXTRAを買収後1,200ぐらい。
全店合わせても3万店ぐらいです。
それを鑑みると、
いかに名も無きティエンディタが多いかが分かりますね。
首都のメキシコシティだけでも20万店以上ですよ!(笑)
この業態、
零細とは言っても甘く見れないのです!
GDPの7%を占めるんです。
(出典:La Jornadahttps://www.jornada.com.mx/2019/09/01/economia/018n1eco)
メキシコ外貨収入第2位の家族送金の2.5倍。
メキシコのGDPは日本の約4分の1。
1ドル107円として、
大体128兆円。
その7%は約9兆円!
これを120万店で割ると、
750万円ぐらい。
これが一店の平均年間売上です。
そうすると月に62万円ぐらいの売上で、
30.4日で割ると約2万円。
これが一店の平均日販売です。
ペソ換算で3,300ペソ。
一日平均50人のお客さんが来たとして、
客単価66ペソ(約360円)。
ん~~~どうだろうってとこです。
当然お店にもよりますが、
日にこれぐらい売る店もあれば、
全く届かないお店も地方には多いです。
ということで、
7%はちょっと多い気もしますが、
何れにしてもこれに近い経済効果があるということです。
これって、
大手の製菓業者(日本でいうカルビーみたいな)の売り上げの7~8割も占めていて、
申告される全国の食品総売上の42%に相当するんです!
だから零細だからと言って、
無視できない商売なんですね。(笑)
一方で不の方向にも影響力大何です。
お察しの通り、
その95%は非正規のお店で、
納税はもちろん、
納税者登録もしていないのです。
ここ25年ぐらいは、
ウォルマートなどの大手のスーパーストアや、
上述の大手コンビニチェーンの出店の加速により、
淘汰されるティエンディタも多いようです。
その割合新規店舗の3割が2年ないしは3年で
廃業してしまうそうです。
一方で、
ティエンディタの強みは、
地域社会に密着していること。
大手コンビニとティエンディタが二つ同じ距離にあれば、
客は必ずティエンディタに行きます。
少しぐらいのおまけや、
おカネが足りない時にはツケで買わせてくれたりします。
そういう関係は大手には絶対できないのですよね。
ちょっと長くなりましたが、
いかがでしょう。
このティエンディタは、
いくら大手が台頭してこようとも、
なくなる事はない、
もはや、
メキシコに根付く歴史であり文化なのです!
ローカルの経済を助けるという意味でも、
メキシコにいらしたらなるべく
ティエンディタを利用しましょう!