コロナ:4月29日現在/日本にはない指標:脆弱さ
コロナウイルスの現状:4月29日現在
上の曲線が感染者数
下の棒グラフが死者数
感染者:17,799(前日比+1,047)
感染疑い:5,444(過去14日以内/+115)
死者:1,732(前日比+163)
実際の感染者数はこの約8.2倍とみられています。
よって実際は90,000人以上が感染している可能性が高いとのことです。
Vulnerabilidad
英語ではVulnerabilityと言い、
“弱さ”とか“傷つきやすさ”という意味です。
日本では社会的弱者と言うのでしょうか。
メキシコでコロナの状況を把握する際、
この指標ってとても重要なのです。
4段階に分かれていて、
1・危機的状況
2・とて高い
3・高い
4・普通
という具合です。
メキシコの人口は1億1993万8473人(2015年の国勢調査の公式データ)で、
その内約7.5%にあたる890万人が、
“危機的状況”下で暮らしています。
上の地図を見れば一目瞭然ですが、
赤く示されているところというのは、
一般的に“先住民”と呼ばれる人たちが多く住んでいる地域なのです。
(僕は“先住民”という呼び方には反対なので普通は使いません)
チアパス州をはじめ、
オアハカ州、
アカプルコがあるゲレロ州、
ウァステカ圏のベラクルス北部や、
ナワとトトナカ圏のプエブラ州北部、
北はドゥランゴ州の南端にはテペワノまたはオダン圏、
チワワ州の西はタラウマラまたはララムリ圏、
そしてユカタンのマヤ文化圏です。
これらの地域には、
設備が整った医療機関が乏しく、
それらを揃える経済的余裕もなく、
情報を得るための手段も限られ、
更には60歳以上の高齢者の割合が極めて高いという特徴があります。
今はまだ極限られた地域のみ感染が確認されていますが、
当局の対応も十分に届かず、
実際は住民任せになっています。
今影響が出ていない地域こそ、
今後の感染リスクは脅威となります。
人口の29.3%は、
危機的状況ではないにしても、
脆弱性がとても高い環境で暮らしています。
こういった地域にも十分な医療設備もなく、
情報源も限られています。
国民の63%は医療サービスが充実した大都市圏や
比較的それに近い地域です。
日本などの経済的な“先進国”とは違い、
経済的格差や様々なサービスからの距離などの物理的格差が大きいメキシコでは、
“一律”給付金や全国“一律”の指針を打ち出せないのが難しいところです。
それに加えて現在も52以上常用されている言語が存在する為、
情報伝達上の障壁も加わります。
今回のコロナショックで、
困難に対する対応は一筋縄ではいかぬ状況も浮き彫りになっています。
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