メキシコ在住１５年目、

「メキシコの素顔を世界に！」

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

南北アメリカ大陸最古の「人類の定住の痕跡」がある場所・その２

その１はこちら☟

日本でそのような「定住型」の生活が始まったのはいつでしょう。

定住が始まると何が起こるのか。

社会が形成されます。

社会には首長がいたり、

大工がいたり、

農夫がいたり、

それぞれが分担して、

より安定した良い暮らしができるように、

協力して生活する「組織」が生まれます。

組織が生まれれば、

階級も生まれます。

定住すれば、

そうやたら滅多に遠出もしないので、

雨が降らず水が無くなれば「祈り」をします。

だれに？

神様です。

宗教の誕生です。

現代の我々の生活に当たり前のようにある、

嫌な上司だったり、（笑）

私腹を肥やすばかりの君主や官僚だったり、（呆）

安全を取り締まる警察、（怖）

罪を裁く裁判官、

などのヒエラルキー（階級）や役職が出来ます。

定住するには農業は必要不可欠。

作ったら作りっぱなしではなく、

保存します。

この作物の保存が可能になったのは、

アメリカ大陸で最初に土器が造られた頃、

正しくは科学的に証明でき得る最古の土器が見つかったのは、

紀元前２４００年～２３００年頃です。

ここテワカン一帯では、

その紀元前２３００年頃の土器が見つかっているのです。

更に！

保存して余れば、

今度はそれを「売ります」。

商業の誕生です。

定住が始まったころは、

今のように「銭」はありませんでしたから、

バーター取引（物々交換）でしたね。

メソアメリカでは、

やがてカカオがおカネになります。

社会が発達していくと、

今度は社会に必要な建造物を造ります。

住居はもとより、

政治を行う建物、

街の行事を行う場所、

そして今日我々が“遺跡”で目にする宗教的建造物、

つまり“ピラミッド”などの建造物の誕生です。

こんな風に、

アメリカ大陸で最も初期の段階の

人間の「定住」は、

今日メキシコがあるメソアメリカで始まったのでした。

その中で、

テワカン一帯は最も初期で重要な場所の一つなのです。

その理由は・・・

土器だけなら実はアカプルコ一帯でも、

同じ年代の頃のものが見つかっているんです。

テワカン一帯では、

乾燥帯または準乾燥帯という気候条件が、

人間社会の発達へ大きく寄与しているのです。

それもそのはず。

東から流れ込む湿った空気は

スィエラゴルダ・オリエンテ山脈にぶつかり、

ベラクルス側で雨を降らせ、

湿度を失った乾いた空気が、

テワカンがある一帯に流れ込むのです。

その為に乾燥、或いは準乾燥帯となっています。

だ・か・ら、

この一帯にはサボテンが生息するんですねぇ。

人が生きるには、

水は不可欠。

でもこの一帯の地表には水がない、

または極端に少ないんです。

そんなわけで、

人々は「井戸」を掘り、

灌漑技術を千年単位の歳月を掛けて発達させていったんです。

現にこの一帯、

テワカンの南にある

サン・マルコス・ネコストゥラ（San Marcos Necoxtla）には、

科学的に証明されているもので、

アメリカ大陸最古の起源前７０００年頃の井戸が発見されています。

紀元前４０００年頃からは、

人々は、

トウモロコシをはじめとする農作物の「栽培」を試みていたと考えられています。

でもすべては雨次第。

雨が降らなければ作物は育ちません。

そのためにこの地域では、

貯水・灌漑技術が発達していきます。

貯水技術、

水を畑に流すための水路など、

気候・地理的条件に合わせて地形を徐々に「変形」させて行ったのです。

これが発達し始めるのが起源前２０００年以降。

もうお分かりのように、

今日の突貫工事のように、

「じゃ、今日からココを削って、

完成は来週ね」

とできたわけではないんですね。（笑）

灌漑設備が出来て来れば、

神頼みの雨に頼らず、

農作物の生育も安定してきます。

「計画的農業」の始まりです。

今のように、

冷暖房付きの温室で、

ボタン一つで作物がスクスク育ったわけじゃないんですねぇ。

それはもう、

気が遠くなるような歳月を掛けて、

アメリカ大陸における、

最初の人間の「定住」が始まり、

「農耕社会」ができたのです。

その元の元の元の・・・が、

ここメキシコの

テワカン一帯です。

これが、

ユネスコの複合遺産の内、

「文化」の部分にあたるものです。

#MexicoCentralTours