メソアメリカの伝染病。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

スペイン人が持ち込んだ病気。

☝1520年の天然痘の記録(出典:Arqueología mexicana https://arqueologiamexicana.mx/mexico-antiguo/la-primera-epidemia-de-viruela#:~:text=La%20primera%20epidemia%20producida%20por,de%20mayo%20del%20a%C3%B1o%20citado.)

 

コロナについて、

ようやく明るいニュースが出ましたね。

イギリスではワクチンの投与が今月にも始まったとのこと。

メキシコも最初の投与を今月中に予定してるようです。

 

メキシコではワクチン投与計画が発表されました。

年齢よって5段階に分けられています。

僕の場合(38)は・・・6月以降とのこと・・・

 

今年はウイルスが猛威を振るい、

様々な業界に大きなダメージをあてえているだけでなく、

全世界で150万人もの尊い人命が失われるまでになっています。

 

現代の発達した医療水準をもってしても、

これ程の死者が出ている上、

その猛威は収まるどころか第2波、第3波と、

第1波よりもその感染力を増しているようにも見えます。

 

昨今の日本では東京、大阪などの大都市でも、

過去最多の感染者数が出ています。

☝無防備なGO TOの影響は否めませんが、、、

 

メキシコも、

先週には一日の感染者数が1万人を超えるなど、

7月のピークを境に下降していた曲線が、

10月よりV字悪化しています。

 

そんな感染症は何も現代に始まったものではないというのは、

今年嫌になるほど過去のパンデミックの事例がニュースで取り上げられました。

 

メキシコにもそんな事例があるのです。

 

いつのものかと言うと、、、

時は遡る事500年。

 

1520年です。

 

この年ってスペイン人がメシカ(アステカ)帝国の首都、

今日メキシコシティの中心部がある一帯にあった島、

テノチティトランに居座っていた頃です。

 

スペイン人が辿り着いたメシカ帝国の首都テノチティトラン。

その翌年1521年にはスペイン人は文字通り、

当時のメソアメリカで最も強大であったメシカ帝国を滅ぼします。

 

それを可能にした要因は幾つかあるのですが、

その一つが「病気」なのです。

 

何かというと「天然痘」。

スペイン語ではヴィルエラ(Viruela)と言います。

 

天然痘はちょうどスペイン人がアメリカ大陸に上陸した16世紀に

ヨーロッパで猛威を振るっていた病気で、

多くの死者がでました。

独眼竜の戦国大名伊達政宗も天然痘に掛かり、

片眼を失っています。

 

一説によると、

異国人として、

初めてメシカ帝国に接触したエルナン・コルテスの手柄に嫉妬した

当時のキューバ総督ディエゴ・ヴァラスは、

コルテスを捕らえるよう、

パンフィロ・デ・ナヴァレスをメキシコに送り込みます。

 

ナヴァレス一行は、

ベラクルスに上陸します。

 

どうもその時に、

天然痘に感染した隊員がいたそうなんです。

 

その隊員から、

天然痘に対する免疫力が無かった地元の住民に瞬く間に感染が波及しました。

さらに、

感染はメシカの首都テノチティトランにも広がり、

当時のメシカの首長(トラトアニ)クィトゥラワックも感染し、

死亡します。

 

この感染の猛威、

なんと2カ月も続いたそうです。

 

今のようにワクチンなど無く、

手当する施設や機材はありませんでした。

 

何人という数字はありませんが、

スペイン人修道士サグンが書いた記録によると、

「とても多くの地元の人達」が亡くなったようです。

 

天然痘については、

1980年にWHOが根絶宣言をしていますが、

その最初の「ワクチン」の話は興味深いですよね。

 

1700年代末、

イギリスの外科医が、

乳しぼりをする女性だけが、

天然に掛かるケースが少ない、

または症状が軽いという事に気付きました。

 

彼女達は牛の伝染病「牛痘」の罹患経験があったのです。

その外科医は牛痘の膿の内用液を、

感染者に投与すると、

僅かな症状が出たもののすぐに完治したそうです。

 

これがワクチンの始まりです。

 

無論、

16世紀にスペイン人が来るまで、

アメリカ大陸には牛はおろか、

豚もウマもいませんでしたから、

ワクチンや即効薬などありません。

どれだけ凄惨な状況だったか、

サグンが書いた記録からも読み取ることができます。

 

これも自然の脅威です。

コロナはワクチンの誕生で収束に向かうと考えられるものの、

またいつの日か次の疫病が猛威を振るう日は確実に来るでしょう。

 

今回のパンデミックで得られた教訓。

発達しているハズの人類の社会は、

それを次に活かす事はできるでしょうか。

 

ともあれ皆さん、

僕の左側ではちょうど朝日が出ました。

ワクチンを打ちたくない方もいらっしゃるかと思いますが、

一先ず終息に向けて「光」が見えたのではないでしょうか。

 

今年もあと2週間。

インフルエンザとの合併症にもお気を付けてお過ごしくださいネ。

 

#MexicoCentralTours

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