メスカルの話・その1

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

メスカル。

☝☝☝“テキーラ”と違い、種類が豊富です。

 

お酒が飲めない方、

好きでない方はあまり興味が無いかもしれませんが、、、

メキシコを象徴するマゲイという植物からできる、

メキシコを象徴するお酒ですので、

文化的側面から少しお役に立てるかもしれません。

 

日本では、

日本酒や焼酎って、

嗜好の議論は抜きにして、

日本の歴史であり文化そのものじゃないですか。

ガイジンさんも、

酒蔵さん巡りを熱心にしていますね。

 

メスカルはメキシコのソレです。(笑)

 

4月が5月頃に、

5回ぐらいに渡って、

「メキシコの酒」シリーズを書いた記憶があります。

 

その中でもメスカルについて少し触れたと思います。

あの有名なテキーラも、

広義ではメスカルの一種なんですねぇ。

 

メスカル、

Mezcal って書くんですが、

これはメソアメリカ時代から存在する、

ナワトル語の

Mezcalli

が語源です。

 

てことは、

スペイン人が乗り込んでくる前のメソアメリカ時代から、

もう既に飲まれていたアルコール飲料!?

 

ん~~~、

僕の答えはNOです。

 

ただ、

考古学者の中には、

YESの人もいます。

 

メスカルって、

蒸留酒なんですが、

蒸留酒を造るには、

蒸留器が無いとダメなんですネ。

☟☟☟蒸留器。ちょっと見えずらいんですが、
奥のパイプが蒸留器です。
下の窯で火を焚いて加熱しています。

お酒について詳しくない方も多いと思うので、

蒸留について簡単に説明しますと、

お酒には、

大きく分けて二つ、

醸造酒と蒸留酒

があるんす。

 

日本で言うなら、

日本酒が醸造酒、

焼酎が蒸留酒です。

 

焼酎の方が度数が強いですよね。

これは焼酎が蒸留酒だからです。

 

アルコールの沸点が78.3度ぐらいなんですが、

水と混ざったアルコールを加熱すると、

沸点が100度の水より先に

アルコールが蒸発を始めます。

 

この気体を集めて、

今度は冷やすと液体に戻ります。

この液体が、

水が抜けてより純度の高いアルコールであり、

焼酎やメスカル(テキーラ)、ブランデー、ウィスキーになるんです。

 

極端な話、

消毒用のアルコールも同じ原理です。

 

それで、

蒸留をするには金属、

とりわけ銅が必要になるんですが、

メソアメリカには金属を加工する技術自体は、

ミステカやプレペチャ文化であったものの、

蒸留器をつくるまでではなかったんです。

実際に金属の蒸留器の考古学的証拠は

これまで“見つかっていません”

 

考古学者の中には、

“蒸留器はあった”

とする人達がいますが、

彼らがいう蒸留器というのは“土器”なんです。

 

という言う事で、

その土器を使用して蒸留酒を造ろうとするのですが、

“できない”んですね。

ていうことは、

蒸留器は“なかった”という事になります。

 

だから、

現時点での僕の答えはNOなのですが、

実際は“もしかしたら”

なんらかの別の方法で出来ていたのカモしれませんね。

科学的証拠が見つかれば興味深いです。

 

蒸留について、

ちょっと長くなってしまいましたが、(苦笑)

 

メキシコには、

二つの外国との交易ルートがありました。

大西洋(メキシコ湾)側のベラクルスと、

太平洋側のアカプルコやマンサニージョです。

 

ベラクルスへは、

言うまでもなくヨーロッパ文化が、

太平洋側には当時スペインの植民地であったフィリピンを中心に、

アジアの文化が入りました。

 

現に、

太平洋側のウィチョル(Huichol)文化圏、

現在のハリスコやナヤリット州付近の蒸留には、

フィリピンの技術が残るようです。

(☝僕はまだ見たことがありません。今度行ってみます・笑)

 

1565年に、

ガレオン船でマニラとの交易が始まり、

メキシコの地のに連れてこられた?フィリピン人が、

ココナッツを原料として蒸留酒を造り、

その後スペイン人が

メスカル(テキーラ)の原料となるマゲイ(アガベ)に応用した、

とする政府機関の資料があります。

 

何れにしましても、

メソアメリカでメスカル、

つまり蒸留酒が飲まれていたろいう可能性は、

今のところ確認できない

という話です。

 

だから、

「メスカルの起源は?」

と聞かれれば、

スペイン人がきた、

「1521年以降」

という答えになります。

 

そんなことで、

実は今回は、

難しい話は抜きにして、

「メスカルの魅力」

を熱く語ろうと思ったのですが、(笑)

時間が来てしまいました。(沈)

 

また次回をお楽しみにぃ~

 

#MexicoCentralTours

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