メソアメリカの“ボールの儀式”。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ旅行の政府公認ガイド兼ドライバーをしています岩﨑コウです。

今日もメキシコから書いています~

 

サッカーの原型!?ではありません。

 

メソアメリカには、

文化や年代は違えど、

ほぼ全土に共通するある建造物があるんです。

 

その一つが、

よくガイドブックに

“球戯場”とか

“ボールゲーム”

などと紹介されているものです。

 

スペイン語では

“フエゴ・デ・ペロータ”(ボールゲーム)

と一般的に呼ばれています。

☝☝☝これです

 

実はこれらの呼び名、

全部間違いです。(笑)

 

何が間違いって、

“戯”とか“ゲーム”という言葉です。

 

これは余興とか遊びではないんです。

【儀式】

だったんですね。

 

【ボールの儀式】

です。

 

今ではフエゴ・デ・ペロータと

スペイン語で一般的に認知されていますが、

メソアメリカ時代のナワトル語では

Tlachtli

マヤ語では

Pok-ta-pok

オアハカ地方のサポテコ語では、

Taladzi

と呼ばれていました。

 

この【ボールの儀式】も、

実は先日少しご紹介しましたオルメカ文化が発祥と言われています。

 

“ボール”を使います。

Hule(ウレ)というゴムの木があるのですが、

それで作った推定2000年以上前の最古のボール”が、

オルメカ文化が紀元前1500年頃に興ったとされる

サン・ロレンソの近くのマナティ山で見つかっているからです。

 

資料によって異なるのですが、

1200~1500ヶ所の【儀式場】が、

メソアメリカの地域で確認されていて、

 

これは、

メソアメリカの特徴の一つを成しています。

 

その一方で、

分からない点も多いんです。

例えばそのルール。

 

細長い“スペース”の中央部の両脇に、

中心部に穴が開いた丸いものが取り付けられている場合があります。

その形も地域によって違うのですが、

その中心部の穴に“ボール”を通せば得点、

と説明するガイドや資料もありますが、

実際のところ、

「わからない」

です。

☝☝☝儀式場の中央部両サイドに取り付けられた“穴”

 

あと、

“儀式”であるからには

人身生贄が伴います。

それが、

“勝った”方になされたのか、

“負けた”方だったのか、

これもいろいろ説があり、

実際のところ

「わからない」

です。

 

【儀式場】の大きさも様々で、

小さなものは数メートルのものから、

大きなものだとトゥラやチチェン・イッツァなどの

100メートルを超えるものもあります。

 

各地域特有の特徴もあるんです。

ミチョアカンでは木の棒とゴムではなく木のボールを使っていたとされます。

ホッケーのような感じですね。

オアハカのDaninzú遺跡では、

マスクと分厚い手袋を付けた人物像の彫刻があります。

 

感覚的には、

中国(唐)から伝わったとされる蹴鞠が、

2000年以上の時間を掛けて、

(実際は2000年も経っていません。例です。)

中国のみならず、

周りのアジア諸国へ形を変えながら伝承していって、

その一つが日本に奈良時代に伝わり、

やがて足から手に変わるなどして、

手鞠となった、

というような感覚でしょうかね。

 

このように、

メソアメリカ全で同じように行われていたわけではないんですが、

元の元はやはり【母なる文化】のオルメカに繋がるんですね~。