トルティーヤ、ではなくトルティジャの裏話。
メキシコ在住15年目、
「メキシコの素顔を世界に!」
をモットーに、
メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。
もう金曜日も終わろうとしています。
何をしたか思い出せないほど、(笑)
光速で時間が過ぎているように感じます。
トルティーヤ、
ではなくて、
トルティジャ。
☝☝☝お母さんが全て手作りしているお店もあります。
なんで訂正するかと言いますと、
トルティーヤだとメキシコで通じないからです。(笑)
メキシコのスペイン語では、
llaはジャと発音します。
南米アルゼンチンやウルグアイだとシャと発音します。
トルティジャと言えば、
メキシコ料理には欠かせない生地だという事は、
今では多くの人が知っていると思います。
トルティジャ=メキシコ料理と知らなくても、
「丸い生地で具材を挟んで食べるもの」
と言えばなんとなく想像つくのではないでしょうか。
☝☝☝手作りトルティジャは忙しい現代人にはもはや特別なもののように思われますが、
昔は手作りが普通でしたし、
何より美味しいんです。
メキシコでは普通はトウモロコシ粉から作るのですが、
日本では小麦粉のものがいわゆるトルティジャという
イメージが定着しているかもしれません。
メキシコでも小麦粉のものも食べますが、
本物はトウモロコシ製です。
☝☝☝家で毎日作ると大変なので、トルティジェリアでできたもの買って、
家で焼くのが一般的です。
これは市場ですが、大抵家の近所にあるものです。
先日、
タマルの所でもちょっと触れましたトルティジャ。
文献によってはその起源を紀元前500年ごろとするものもありますが、
そこは定かではなりません。
メソアメリカのどこで“発明”されたのかも不明です。
トルティジャは
Tortillaと書くのですが、
この語源というのはナワトル語のTlaxcalli。
(トラスカリ)
あんまり似ていないですね。(苦笑)
メキシコシティの東に
トラスカラという小さな州があります。
☝☝☝ここです。
Tlaxcalaと書くのですが、
この語源はTlaxcallanです。
どういうことかと言うと、
トルティジャを意味するTlaxcalliと
“場所”を意味するtlá n
を組み合わせてできているんです。
つまり、
直訳すると
“トルティジャの場所”
となります。
だからと言って、
トラスカラ州がトルティジャ発祥の地なのかは分からないそうです。
トラスカラ州って、
マリンチェ登山に行く時に必ず通るのですが、
実はこの州、
1857年まで、
文字通り、
メキシコの地図から抹消されていたんです。(苦笑)
以前、
何かのブログで書きましたが、
スペイン人が1519年にメキシコに上陸し、
メキシコ湾側にアメリカ大陸初のスペイン人の街を建設しました。
その後、
メシカ(アステカ)帝国の首都テノチティトラン(今のメキシコシティ)
に向かって歩を進めるのですが、
途中、
今のトラスカラ州を通ったのです。
当地のトラスカラ族は、
メシカ(アステカ)族に徹底抗戦を挑んでいて、
メシカ帝国が制圧できなかった数少ない地域の一つなんです。
それを知ったスペイン人のエルナン・コルテスは、
このトラスカラ族を味方に付け、
その後彼らの協力の元、
ヨーロッパ化を進めることになるのです。
だから、
見方によってはトラスカラ族は
「メキシコの敵」
とみなされ、
スペインからの独立後30年以上に渡って、
地図に載せてもらえなかったんです。
それで、
なんでトラスカラ州がトルティジャなのかというと、
雨がよく降り、
偏にトウモロコシが沢山取れたからなんですね。
それ故、
Tamalli(タマル)も沢山食べていたのでしょうが、
その当時沢山あったトウモロコシを使い、
いつからか存在していたトルティジャも併せた食生活が存在していたのでしょう。
そこから、
彼らが食べていたTlaxcalliに、
スペイン人が“Tortilla”というスペイン語名をあてたのです。
トルティジャは、
温かくないと美味しくありません。
むしろ、
冷えたトルティジャはパサつき、
食べられたものじゃないです。(苦笑)
だから、
「冷たいトルティジャを食べている」
と言うと、
「今うんざりしてるんだよね~」
という意味になるんです。(笑)
やはり、
トルティジャは手作りの焼き立てが一番美味しいんです。
☝☝☝ミチョアカン州モレリアにあるこのレストランでは焼き立てを出してくれます。
トルティジャのサイズも大きいですね。
使うトウモロコシの種類によって、
味が違えば色も違ってきます。
普通は黄色や青色が多いですね。
☝☝☝これはトウモロコシ製ではなく小麦粉製です。
ノパル(サボテン)の緑です。
(鮮やかすぎる色からして着色料もはいっているのでしょう)
トルティジャとトラスカラ。
二つの名前にはそんな関係性があったんですね~。
トラスカラは小さな州ですが、
そこでトルティジャを噛みしめてみるだけでも、
メソアメリカの当時の様子が頭の中に浮かんでくるかもしれません!?(笑)
ぜひぜひ、お試しください~
#MexicoCentralTours
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