ボラドーレスの宗教的セレモニー。
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その日に思いついた話題をかいて1000本以上、
たぶんメキシコに関するブログでは最大です。(誇!)
ボラドーレスの宗教的セレモニー。
👆ボラドーレスの宗教的儀式
世界無形文化遺産でもある「飛ぶ人達」とは
メキシコでも、
Danza de Volacoresとか、
Voladores de Papantlaとか、
色んな言い方があるんですが、
スペイン語の正式な名前は、
Ceremonia Ritual de Volacores
です。
2009年にUNESCOの世界無形文化遺産に指定されました。
他にはマリアチなども登録されています。
ボラドーレスってスペイン語で「飛ぶ人達」という意味です。
Volarという動詞が英語のFlyです。
その名の通り、
30mぐらいの一本の木の上から、
ロープに吊るされた人が、
グルグル回りながら降りて行くのです。
ショーではなく宗教的儀式だった
ガイドブックには、
ベラクルスのエル・タヒンのページに、
ちょこっと“ボラドーレスの儀式”
という欄が設けられていて、
「ベラクルス一帯で見られる」
と書いてありますが、
ベラクルス以外でも行われています。
元々は他の地域でも行われていたのですが、
16世紀に乗り込んできたあのスペイン人達が勝手に“禁止”してしまった為に、
現在ではエル・タヒンがあるトトナカパンを含む、
一部の地域を中心に行われています。
特に各地の有名観光地では、
宗教的儀式ではなく、
観光客向けのショーとなってしまっています。
一部の地域と言いましても、
ベラクルス州外や、
メキシコシティですと、
ソチミルコや人類博物館前の公園でも、
宗教的な意味合いを持たない観光ショーとして、
ほぼ毎日行われていますね。
遠くはグアテマラのCubulco(クブルコ)でも行われているんです。
北は有名なウィラリカ(またはウイチョル/現ハリスコ北部とナヤリット)文化圏、
南はマヤ文化のニカラグアのTecoategaでも、
同様の宗教的儀式が行われていたという記録があります。
ボラドーレスの最古の痕跡
それで、
そもそもこのグルグル回って降りる儀式って何なのだと。
ただのショーではないのです!
人身生贄を伴う宗教的儀式でした。
👆ボラドーレスと人身生贄の記録
これにもやはり長ぁ~い歴史があるのですね。
考古学的に最も古い“証拠”は、
紀元前600年頃にさかのぼります。
建造物がある広場に丸い柱を立て、
その上に人が横になっていて、
その下では7人ぐらいの人が取り囲んでいる
模型がメキシコの西の方で見つかっています。
下に先祖の墓がある神聖化された場所に柱を立て、
宗教的儀式が行われていたと考えられています。
👆推定紀元前600年頃の模型
今でこそショーになってしまっていますが、、、
この儀式では人心生贄も行われていました。
隣国グアテマラのマヤ文化の都市跡ティカル(Tikal)にある壁画にもこの儀式の様子が描かれています。
正確な年代は分かりませんが、
ティカルが放棄される4世紀前後ではないかと言われています。
ボラドーレスの目的
メソアメリカのご先祖さん達は、
命を与える水を“聖なる液体”とし、
それをもたらす雨を特別な存在としていたのです。
だから先祖や神様が存在すると信じられていた“空”に近い山を神聖な場所としていたのです。
このボラドーレスの宗教的儀式も根本的には目的は同じなのです。
地上に立てられる一本の柱は、
聖なる“天空”と人間と動植物が存在する“地上”を結ぶもの,
光と温かさに満ちた“地上”と、
暗く冷え切った“地下の世界”を結ぶ“軸”です。
この“軸”を中心に、
東西南北の4方向が存在します。
この軸を世を司る中心(axis mundi)と捉えていました。
例えば日本の皆さんにも有名なテオティワカン。
この都市も、
東西南北を天文学的理由に基づいて設計されています。
通称“死者の道”は南北に貫き、
通称“太陽のピラミッド”は太陽が生まれる東に位置し、
南北軸の北は神聖な“山”セロ・ゴルド(Cerro Gordo)に向き、
南北軸の“死者の道”は約7度だけ真北からズレています。
不思議なことにこの7度の“誤差”って、
大抵どこのメソアメリカの都市でも同じなんです。
通称“月のピラミッド”は、
この神聖な山“セロ・ゴルド”の模型、
だからある一定の所まで近づくと、
スッポリと“山”が隠れてしまうのがわかります。
すみません、また話がズレました、、、(謝)
「性」は神聖なもの
それで、
その“軸”とは別に、
あともう一つ重要な要素があるんです。
ちょっと性的な意味合いを含むのですが、(苦笑)
メキシコのご先祖さん達は真剣に考えていました。
メソアメリカの都市跡に行きますと、
男性器を形どった彫刻などをよく目にします。
人の性器は生命をもたらす神聖なものとして捉えられていました。
このボラドーレスの宗教的儀式に使われる“柱”は男性器として、
“柱”を立てる“穴”は女性器とされていました。
言うまでもなく性交を意味しています。
いやらしい意味ではなく、
多産の象徴なんです。
神や先祖がいると考えらている“空”から、
世の中心である“柱”を軸にし、
東西南北の4方向を意味する4人のボラドールが、
地球の自転と同じ左回りで、
メソアメリカのカレンダーと同じ“13回転”して、
“降りてくる”動きを“雨”として、
特に主食であるトウモロコシの収穫時期や、
干ばつ時の雨乞いの儀式だったんですね~。
ちなみに・・・
13回転x4人=52回転
これはメソアメリカの一世紀に相当する年数です。
宗教的な意味合いが消えた今のボラドーレス
木の柱は、
地域によって異なりますが、
9日だったり、15日以上だったり、
儀式が終わると一定の時間は同じ位置に留めます。
基本的に毎回新しい木を使うのですが、
宗教的な意味合いが消え、
根も葉もないショーでしかなくなってしまった今、
鉄柱の所もあります。(苦笑)
ボラドーレスになるには、
原則小さなころから“学校”に行かなければならないのです。
現在約33のグループがあり、
3つの学校があり、
3つの協会があり、
約500人の公認ボラドーレスがいます。
この宗教的儀式も色々な名前がありますが、
正式にUNESCOに登録されていますのは、
Ceremonia Ritual de Voladores
です。
どうでしょう?
こうみると、
各要素一つ一つに意味があるんですね。
タダのショーとして見上げるのは、
実際のところ“意味がない”ということです。(苦笑)
メソアメリカの都市跡“遺跡”にしても、
こういうのを知って初めて、
“見る価値”が生まれるんです。
ただ“あー凄―い!”
ではもったいない。
すみません、
ブログなのに、
書き出すと止まらなくなって長引きました(苦笑)
ここまで読んで頂いた方、
Muchas Gracias~
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