もう【死者のパン】を見た!/メキシコのお盆【死者の日】とは。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

メキシコのお盆「死者の日」

☝☝☝死者の日のお墓です。(岩﨑撮影)

 

コロナと猛暑のお盆休みでしたが、

皆さんはどのように過ごされましたでしょうか?

 

つい先日、

スーパーに買い物に行きましたら、

「死者のパン」

なるものが売られていたので、

これを書くのを決意をしました。(笑)

 

なんで決意までしないといけないかというと、

その「死者のパン」の時期までまだ2カ月半あるからです。(苦笑)

 

日本でいうお盆のような日で、

「死者の日」と呼ばれています。

(Dia de muertos)

一般的には11月1日と2日の二日間です。

 

「死者のパン」て何かというと、

これです☟☟☟(岩﨑撮影)

 

ドーム型のパンの上に、

凸凹がありますよね。

これは死者の骨を表しているんです。

だから「死者のパン」、

スペイン語で、

「パン・デ・ムエルトス」

(Pan de muertos)

と呼ばれています。

 

これが出て来ると、

「ア~もうそんな時期なのか」

と思うのです。

というのも、

11月ってもう冬の手前じゃないですか。

 

でも今は未だ夏。

しかも日本は猛暑。

全然そんな冬の装いの欠片もないですよね。(笑)

 

「死者の日」って、

日本のお盆に似たような習慣と書きましたけれど、

注意しないと、

ちょーっと複雑なんです。

 

近年では、

メキシコの政府の後押しもあり?

映画007Spectreの影響もあり?

観光会社の無知もあり?

伝統的習慣というよりも、

「フェスティバル」のような雰囲気です。

 

仮装パレード。

これ、

完全に資本主義の理に適ったマーケティングですよ!(笑)

メキシコの伝統的習慣じゃありません!(笑笑)

エンターテインメントです!(笑笑笑)

(もちろん高い旅費を払ってでも、仮装パレードをご覧になりたければどうぞ~)

 

仮装パレードでなくても、

いろんな所で、

「死者の日ツアー!」

などと大々的に宣伝しているのをよく見かけます。

何をするのかというと、

お墓に連れていってくれるようです。

 

この「死者の日」という無形の習慣は、

メキシコのミチョアカン州の料理やマリアチと同じように、

ユネスコの世界無形文化遺産に指定されているんですね。

 

ここで注意が必要です。

 

現代に我々が目にする「死者の日」の習慣というのは、

メソアメリカ時代の習慣と、

ヨーロッパのカトリックの習慣が融合したものなんです。

 

ウン百年、ウン千年も前から、

現代のように、

仮装は言うまでもなく、

祭壇、死者のパン、ガイコツなどはなく、

それらはヨーロッパからの輸入品なのです。

 

ではメソアメリカ時代の習慣は何かというと、

トウモロコシの時期の終わりに行われていた儀式です。

 

日本でも秋にお祭りが多い理由と重なりますね。

日本の場合はお米です。

 

農業に関わる習慣だったのです。

 

メキシコの大衆料理ポソレの所でも書きましたが、

トウモロコシを作付けする春には、

豊作祈願として、

トゥラカシペワリストゥリ

(Tlacaxipehualiztli)

という儀式が行われていました。

「太陽の石」の上で、

グラディエーター式の生贄の儀式が行われていました。

 

という事は締めもあります。

 

メソアメリカ各地のメシカ(アステカ)、マヤ、プレペチャ、ミステカ、トラスカルテカ、トトナカなどなど、

各地の各文化では、

カタチは違えど、

それぞれの締めの儀式を行っていたんですね。

というのも、

メソアメリカの世界観は「死は新たな生を生む」です。

トウモロコシの農期の終わりと、

人間の死を重ね合わせたんです。

新たな「生」が生まれるには、

「死者」は障害を乗り越えながら、

地下の世界(ミクトラン)にいる

死者の神にお供えものをしなければなりません。

 

このあたりも仏教の四十九日に似ていますね。

 

だ・か・ら、

当時の人は、

この時期(10月末から11月初旬)に死者を崇拝していたんです。

 

このメソアメリカの習慣が、

1519年以降、

スペイン人が入ってくると、

カトリックの習慣のカレンダーに勝手に合わせられたのです。

 

何故11月1日と2日なのかというと、

実はこれ、

元の元は10世紀頃にフランスで始まった、

マッカビーを崇拝する儀式に端を発するんです。

 

マッカビーって何かというとユダヤ人の一グループです。

ユダヤ人!? 

キリスト教の始祖キリストは、

ユダヤ人だったのです。(苦笑)

 

このフランスで始まったマッカビーの崇拝の儀式が、

11月2日に行われていたんですね。

11月1日はその他の名の知れない聖人達を敬う日としました。

現在では、

1日は子供の死者、

2日が大人の死者がこの世に「一時帰国」し、

その家族と束の間のひと時を過ごすというのが、

このメキシコの「死者の日」の大義名分なのです。

☝☝☝ミチョアカン州のとある村の死者の日の様子。
家族総出で地元のお墓で故人との束の間のひと時を過ごします。(岩﨑撮影)

 

次回はハロウィンとの違いについて書いてみます~

 

そもそも、ハロウィンて何か知ってます?

知らずにお祭り騒ぎしている人が大半だと思いますが、

せめて何を祝っているのか知った方がイイですよね。(笑)

 

#MexicoCentralTours

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