メキシコ人の時間の感覚

「時間にルーズな人はだらしない」なんてことは日本でよく聞きます。約束や仕事のアポの最低10分前到着はよく言われます。万一遅れる時には連絡を入れるなどが常識とされているのではないでしょうか。

「約束の時間を守らなという事はダメなことだ」という理由の一つに、「他人の貴重な時間を奪う」からだと聞いたことがあります。確かにそうです。10分待ちぼうけを食らったらその10分はその人には「無駄」となるわけですね。無駄にされたからその人に対するリスペクトがないとかなる。僕も同感です。今となっては過去のことですがよく腹が立っていました。「なんで時間通りに来ないんだ」と。

同感なのは変わりませんが、少し考え方を変えると楽になりました。10分待たされるのが分かっていれば、無駄にならないように本を持って行くとか、パソコンを持っていって仕事をするとか、例えドタキャンされてもその時間は逆に有効になるのです。そもそも「来てくれるだけで有難い」、といつも第2プランを持っておくのです。「メキシコ人の人間関係」については別の日に書きますが、メキシコ人の礼儀は時間を守ることではなく、「行くこと」なんですね。仕事など大事なミーティングなどは除いて、行かなくても白い目で見られることはあまりないですが、やっぱりそれが続くとやはり「あいつはどうせ誘ってもこない」とある種の「信用」を無くします。

僕たちの結婚式である“事件”がありました。とても考えさせらたのです。通常メキシコの結婚式は、テレビでご覧になられた方もいらっしゃるかもしれませんが、200人、300人と大人数を呼ぶことはざらにあります。
ただ、僕たちのケースでは、本当に大事な友人達だけを招待しました。会ったこともない友人の彼氏・彼女(メキシコではダンスタイムがあるので男女一組で招待するのが通例)、家族(時には知らない家族の知り合いまで来たりする)であってもコンタクトもない人は招待しなかったのです。招待した人の中に嫁の“学友”がいました。その学友というのがものすごく頭が良く、ご両親もしっかりした人達だと聞いていました。招待状を渡したときにも「絶対行くから!」とその人の彼氏と喜んでくれていました。当日、時間になっても彼ら(特に彼女)の姿がありません。(ここまでは普通にあり得る) すると嫁の携帯にメッセージが入りました。「ゴメン、彼が英語の試験があるからいけない」と。

後の「メキシコ人の人間関係」でもう少し掘り下げて書いてみますが、僕らはこの人のドタキャンに対する悲しみよりも、こういうドタキャンの仕方に行きつくまでの思考回路がどこでどうやったらそうなるのか、とても興味がわきました。だって、嫁の“親友”の一人で、一生に一度の結婚式への招待でしたから。ただのパーティーに行くのとは違いますよね。
同じメキシコ人の嫁はこの人との友人関係を終えた(というか呆れた)ことは言うまでもありません。何事にもおおらかなメキシコ人(特にウチの嫁は)でも「お前いくら何でもそりゃねぇだろ!」ってことです。

一方で、自営業をやっている人で、当日も外せない仕事が入っていた人が数時間遅れで来てくれました。披露宴も後半に差し掛かっていた頃です。こういう時って日本ではどうなんですかね?でもメキシコのケースでは「良く来てくれた!」となるのです。そりゃ時間通りにいてくれればそれに越したことはないですど、そこまで気にしないということです。

あともう一つ、笑ってしまったのですが、パーティーへの招待状について。そこには「12時開始」などと書いてあります。会場までは約1時間。11時近くになり嫁に「もう出ないと遅れるよ」というと、「心配しないで、12時ということは12時半だから」と言われました。極端な例になりますが、「みんなが1000円札に1000円の価値がある」と思いこんでいるからただの紙切れではなくお金として受け取ってもらえ、同等の商品やサービスと交換してもらえるのですね。だから「みんなが30分遅れても問題ない」と思いこんでいれば問題など無く、誰も怒らないのです。「みんなが時間通りに来ない」と思いこんでいれば遅れる事が前提なので怒らず、リスペクトがないともならないのです。ここでは一般的に言われる“時間を守らないことは悪か”という議論にはならないのです。
肯定はしませんが、少し考え方を変えれば“楽になる”ということを身を持って学びました。

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