語られない、戦時中メキシコにいた日本人の話。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

戦後75年。

三四半世紀の節目の年です。

僕が中学一年の時、

長野県売木(うるぎ)村の、

全生徒数19人の中学で、

村のお年寄りを学校に招いて、

戦時中の食事を体験したことを思い出します。

何を食べたか

詳しくは思い出せないのですが、

それからもう四半世紀も経ったと考えると、

時間の経過がとても早く感じます。

 

メキシコでも、

日本と言えば、

テクノロジーと

ヒロシマ・ナガサキということは、

大体どの人のでも知っています。

 

戦争の史実として、

アジア圏での旧日本軍の戦況などについて語られる事がありますが、

当時外国に住んでいた日本人について語られることはあまりないかと思います。

メキシコも例外なく、

当時日本人が住んでいたんです。

 

メキシコ批判ではなく、

事実として、

当時のメキシコで日本人・日系人が受けた扱いについて少し書きたいと思います。

 

日本人のメキシコへの移住が始まったのは1897年とされています。

当時はポルフィリオ・ディアス政権下、

移民が奨励されていました。

日本人移民の主な定住地はチアパス州の太平洋側でした。

このような移民労働者はヨビヨセと呼ばれていたようです。

 

13年後の1910年には、

独立100周年記念式典に日本の代表団が招かれています。

そこで日本大使は二つの磁器を記念品として贈呈しているようです。

代表団はレフォルマ通り27番にあった邸宅に宿泊したようですが、

現在ここには近代的な建物が建っています。

 

そのように両国の関係は、

“表面的”ではあるものの、

良好な状態が約40年に渡って続きます。

 

1941年。

日本の真珠湾攻撃を機に、

日墨両国の“良好”な関係は顛倒してしまうのです。

 

当時のメキシコ大統領は、

マヌエル・アビラ・カマチョ。

真珠湾を境に、

日本との国交を断絶。

商取引を停止した上、

当時6000人いたとされる日本人に対して規制が始まります。

更にはメキシコ各地にいた日本人に対して、

メキシコシティ、グアダラハラ、クエルナバカ、プエブラの収容所へ送られるのです。

スパイ容疑や妨害行為を疑われれば刑務所に送られました。

 

そこで疑問です。

メキシコは、

日本から直接的な攻撃は受けていないのにも関わらず、

どうして日本人への規制に踏み切ったのか。

 

これにはアメリカからのプレッシャーがあったようです。

アメリカはメキシコのみならず、

ラテンアメリカ諸国に対して、

日本人を監視するように通達を出します。

 

メキシコでの日本人に対しての規制についてはこうです。

 

身分証明書の剥奪、

月間500ペソのみ出金可能。

500ペソというのは、

なんとか食べていけるだけの金額です。

金融口座の凍結と、

帰化証明書の無効化。

集会の禁止と、

8日以内に自宅の放棄、

そして上記のように収容所送りです。

 

アメリカのメディア戦略による、

「日本軍がメキシコへ侵略を画策している」

という情報が流れ、

メキシコ国民にアンチ日本の空気が流れ始めます。

こんな風にして、

開戦から3週間ほどで、

在メキシコ日本人の生活は暗転してしまったのです。

 

6000人の日本人の内、

約1500人はメキシコ生まれ、

ないしは既にメキシコ国籍に帰化した人達だったのですが、

その人達も収容所送りとなったんです。

 

当時は冬。

低地は寒くはなかったハズですが、

メキシコシティなど、

高地は冷えます。

十分な衣服や食料を持たず、

長距離の移動を強いられ、

子供1人と高齢者2人が亡くなりました。

 

1942年に、

ドイツ軍によるメキシコ船籍のタンカー攻撃を受け、

メキシコは枢軸国に対して宣戦布告し、

エスクアドゥロン201という戦闘機をフィリピンに派遣します。

しかしそのまま終戦を迎え、

日本に対する攻撃は行わなかったようです。

 

「ペルーの収容所よりも良い環境だった」

を理由に、

メキシコ政府はこのような、

日本人に対する非人道的な扱いを謝罪しておらず、

損害賠償もなかったようです。

 

これを“恥ずべき歴史”とする学者の声もありますが、

今のメキシコの人にとっては遠い過去であり、

太平洋の反対側の小さな国の話。

このような事実が話題に出る事はないですね。

 

この“恥ずべき歴史”が本当であれば、

日本がアジア諸国で犯した戦争犯罪と同じように、

隠し続けたい戦史なのかもしれません。

 

#MexicoCentralTours

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