メキシコ各地で今日見るショーの形骸化を危惧しています。
メキシコ在住16年目、
「メキシコの素顔を世界に!」をモットーに、
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公認日本語ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。
メキシコ各地で今日見るショーの形骸化を危惧しています。
国立美術館に行って来ました。
Museo Nacional de Arte、通称MUNALと呼ばれています。
ここはメキシコのオフィスビル第一号としても知られています。
近代化を急速に推し進めるポルフィリオ・ディアス(Porfirio Díaz)政権下、
当時の最高建築技術と芸術を駆使して、
国の公共工事などを司る省庁(Palacio de Comunicaciones y Obras Público)の事務所として建設された建物です。
現在はその事務所は別の場所に移転していて、
ここは国立美術館となっています。
この美術館には有名はホセ・マリア・ベラスコ(José María Velasco)、
Dr.アトルことヘラルド・ムリジョ(Dr. Atl・ Gerardo Murillo)、
ディエゴ・リベラ(Diego Rivera)、
ダビッド・アルファロ・シケイロス(David Alfaro Siqueiros)、
フィデンシオ・ルカノ・ナバ(Fidencio Lucano Nava)、
エンリケ・ゲラ(Enrique Guerra)、
アグスティン(Agustín Ocampo)
などのメキシコの有名芸術家の作品が展示されています。
本当はガイドとしてこんな事は言ってはいけないのですが、、、
僕は正直これまで芸術には興味、といいますか、
美しさをあまり感じられずにいて、
もちろん理解もよく出来ずに生きて来ました。
これは良ろしくないということで、
少しずつ本や美術館で気を惹かれる作品を、
有名無名に関わらず鑑賞することにしています。
そんな中、
ホセ・マリア・ベラスコの絵画には惹かれますね。
写実画家で、
メキシコがスペインから独立を果たして約50年後(1870年代)から、
主に今メキシコシティがあるメキシコ盆地を中心に、
メキシコの風景を描いた画家です。
写真が発明された直後ぐらいで、
彼は後に写真も撮るようになります。
メキシコ盆地の作品はいくつかあり、
作品によって当時のメキシコィ盆地の様子が違うのがよく分かります。
因みにこれ☟は1875当時のメキシコ盆地の様子です。
そんな中、
MUNALでアニタ・ブレネル(Annita Brenner)というある知識人で学者の展示をやっていたので行って来ました。
この方は1905年にアグアスカリエンテス(Aguascalientes)という現在日産の工場がある街で生まれ、
その後アメリカで育ちます。
芸術家ではなく、
メキシコの著名な芸術家ら中には無名の作品まで収集し、
アメリカで雑誌Mexico/This Monthを通じてメキシコの素晴らしい芸術、歴史、文化を広めました。
数多くのコレクションの中にこんな写真がありました。
死者の日ですね。
スペイン語でDía de muertosといいます。
1960年に撮影と書いてありますが、
撮影者は不明です。
10歳ぐらいでしょうか。
丸いプレートにMariaと書かれていますので、
彼女のおばあちゃんか、
ひいおばあちゃんのお墓でしょうかね。
この素朴さと言いますか、
年に一度の亡くなった方々と共にする時間、
その瞬間を大事にしているという印象が伝わります。
経済の発達に技術革新も伴い、
今ではだれでも簡単にキレイで一風変わった写真も簡単に取れてしまう時代になりました。
それを共有して他者の評価や共感を得て、
バーチャルな親指をマークを多く得たものが強いという時代です。
いえ、
それは評価や共感とは呼べないかもしれません。
評価や共感をするには、
対象を十分に理解する必要があると思いますが、
SNSでどれだけ理解しようとしているでしょう。
そもそも、
それらのバックグランドってあまり考えないと思うんです。
キレイか、オモシロイか、クール(カッコイイか)で評価されてしまって。
だからメキシコの死者の日が、
「メキシコの伝統を拝見する」ではなく、
もはや欧米では本来の宗教的意味合いがない「ハロウィンパーティー」の「メキシコバージョン」と勘違いもされたり、
一部ではこのメキシコの伝統的・宗教的行事が形骸化しているような気さえしています。
そんな事で、
伝統行事の「本来の意味」を、
死者の日のみならず、
一度考える必要があるのでは?、
と思わせてくれた写真でした。
ただやる、ただ行くではなくて、
なぜこうなったのか、
なぜこうしているのか、
と考えると、
歴史や文化が非常に奥深いメキシコの素顔の全体像が見えてくると思います。
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