トマトはどこ出身?

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

プロのメキシコ旅行ガイド兼ドライバーをしています岩﨑コウです。

今日もメキシコから書いています~

 

☝☝☝ティアンギス(青空市場)のトマト。キロ25ペソ=125円ぐらい
メキシコのトマトはちょっと長細いです。

皆さんもよくご存じのトマト。

日本でも、

重要な作物の一つということは紛れもない事実です。

 

僕の母親も、

家庭菜園から始めて、

気が付いたら農地4ヶ所で栽培していました。

でも、

家計の為というよりも、

“趣味の延長”のような感じでやっていましたね。

 

でもそれを見た僕は、

「これ、趣味じゃなくて完全に事業じゃん、へ~すげぇ~」

と思ったことを思い出します。

どこからどう知識を得たのか、

結局聞く事は出来ませんでしたが、

全自動空調設備完備の立派な温室も建て、

20年以上ほぼ一日も休まずやっていました。

 

そんな個人的な背景もあり、

僕にとってトマトは特に思い入れがある作物なんです。

 

それでそのトマトは

どこで生まれたんでしょう。

 

はい、もちろんメキシコです。(笑)

 

ちょっとここで一口メモ。

 

トマトには大きく分けて二つあります。

赤と緑です。

 

緑って未完熟じゃなくて、

熟しても緑のものですよ。(笑)

日本でもあります?

僕は記憶にないです・・・

 

グリーントマトで探すと、

缶詰が出てきました・・・(苦笑)

 

トマトは英語でTomatoと書きます。

スペイン語ではTomate(トマテ)と書きます。

Tomate(トマテ)は緑トマト、

赤トマトはというとJitomato(ヒトマテ)といいます。

 

実はこの語源は現在もメキシコで話されている52の言語の内の一つ、

ナワトル語なんです。

この前アボカドについて少し書きましたが、

アワカテ(アボカド)の語源、

睾丸を意味するAhuacatlもナワトル語でしたね。

 

トマトはナワトル語で、

Tomatl(トマトゥル)と言います。

赤トマトはXitomatl(ヒトマトゥル)です。

 

日本でも世界の多くの国でごく日常的に食べられているトマト。

それはメソアメリカ(現メキシコ)に端を発する、

これらのナワトル語に由来しているんです。

 

トマテ(緑トマト)は、

何と世界中で100もの種類があり、

内70種はメキシコで生息しています。

ヒトマテ(赤トマト)は、

9種がメキシコで栽培されています。

 

スペイン人が1519年にメソアメリカの地に入り込み、

その後トマトとヒトマテをスペイン本国に持ち帰り、

ヨーロッパの地で初めて栽培が始まります。

16世紀後半です。

 

日本は江戸時代の前、

秀吉が老いぼれ爺になっていた頃です。(苦笑)

 

ヨーロッパでは赤トマト、

つまりヒトマテの方が受け入れられました。

 

ヒトマテ(赤トマト)はその後ヨーロッパ各地に伝わり、

イタリアの気候条件が最も適しており、

ヒトマテ(赤トマト)の栽培が盛んになります。

イタリアでは「黄金のリンゴ」とか、

「愛のリンゴ」と呼ばれていたそうです。(苦笑)

 

その後イタリアでは乾燥技術も発達し、

1856年には世界初のトマトの缶詰も登場します。

その後、

イタリア移民がアメリカに渡った際にヒトマテ(赤トマト)を持ち込み、

現在ではアメリカは世界最大のヒトマテ(赤トマト)の生産国になったのです。

1876年にはケチャップが発明されるに至ります。

 

一方で、

考古学的証拠があって、

最も古い“栽培”の歴史があるのはトマテ(緑トマト)の方です。

メキシコ盆地で紀元前5000年前のもの、

そしてプエブラ州のテワカンでも紀元前900年頃のものが見つかっています。

☝☝☝トマテ(緑トマト)はカリスという殻がついていて、酸っぱく、通常生では食べません。
キロ18ペソ=90円ぐらい

 

ヒトマテ(赤トマト)はと言いますと、

実はこれ、

起源は南米とされていています。

元の元はメソアメリカ(メキシコ)ではないのですが、

スペイン人が入ってきた後、

世界で初めて“栽培”されたのはメキシコの地、

ベラクルスやプエブラだと言われています。

考古学的な証拠がないのですが、

スペイン人が書いた史書に記述があります。

 

よって、

ヒトマテ(赤トマト)の起源については、

考古学的な証拠がないために、

「不明」

なんです。

 

メソアメリカ時代には、

赤と緑、両方存在したのにも関わらず、

食されていたのはトマテ(緑トマト)のみでした。

少なくても赤トマトの栽培について、

考古学的証拠がない。

 

なぜか。

 

一つは保存性です。

緑トマトの方が日持ちするんです。

二つ目は緑トマトの方が酸っぱいんですが、

この酸味がですね、

チレ(唐辛子)の辛さとマッチするんです。

あとサルサの粘土も適当なものになるんです。

 

ミルパ(Milpa)といって、

チナンパ(Chinampa)と並びメソアメリカ時代から現代メキシコに至るまで実用されている農法があるんですが、

ミルパではトマテ(緑トマト)は栽培しなくても自生するんです。

これをMiltomate(ミルトマテ)といいます。

 

トマテ(緑トマト)の特徴は見た目と酸味の他に、

殻が付いているんです。

コレをカリス(Caliz)というんですが、

タマルというメキシコ料理に使うんです。

これを使う事によって独特の弾力を持たせます。

また、消化を促進する薬としても使われていました。

 

現在メキシコでは、

生鮮の場合には、

トマテは緑、

ヒトマテは赤トマトを指します。

一方でソースなどの加工品として使われる場合には、

輸入品の増加もあり、

Tomateまたは英語でTomatoで、

統一され赤トマトを意味します。

なぜならば、

メキシコ以外では緑トマトはあまり食されないからで、

トマテ(Tomate)ORトマト(Tomato)

=赤トマト

なんです。

 

現在世界では年間1億トンのヒトマテ(赤トマト)の生産がありますが、

その内3分の1はアメリカ、中国産、

300万トンはメキシコ産です。

主にはメキシコ北西部のシナロア州で国内生産の75%を担い、

他はバハカリフォルニア半島、

チワワ州、

南はチアパス州などです。

 

ヒトマテ(赤トマト)はサルサをはじめ、

お米にも使います。

オレンジ掛かったお米が出て来ることがありますが、

これはヒトマテ(赤トマト)で調理されています、

 

そんな事で、

意外なところでメキシコと繋がっている農作物トマト。

 

これからトマトを食べるたびにメキシコを思い出して下さい。(笑)