不便になってわかる有難味

実は今日約半年ぶりに冷奴(ひややっこ)を食べました。

豆腐に鰹節を振りかけて醤油を掛けて食べるれっきとした日本料理です。

 

ご存知の通り、豆腐は奈良時代に中国から遣唐使を通じて日本の伝わりました。

元々は精進料理として貴族や武家などの上流階級の人達だけに食べられていて、

それが時を経て、江戸時代中期ごろになってようやく一般人にも食べられるようになったようです。

”奴“って今では「ヤツ」と第三者を呼ぶときに使われるあまり聞こえの良くない言葉ですが、

元々は律令制度時代の身分の低い奴婢(ぬひ)から来ています。奴が男、婢が女です。

身分が低いといっても奴隷とは違い、武士の使用人のような仕事をしていました。

で、その奴が来ていた半纏(はんてん)に釘抜紋という四角い紋様があったのですね。

そこから食材を四角に切ることを奴に切ると言われ始めたそうです。

そこから冷たい豆腐は冷奴、温かいのは湯奴、または煮奴と呼ばれるようになったそうです。

 

小さい頃は、今は亡き母が毎朝のようにご飯と味噌汁とセットで食べさせてくれた料理ですが、

いつの日かそんな事があったとは思い出しもせずに、

食べなくても何とも思わず、気が付けば早半年。

 

現代では斬新な盛り付けや味付けで評価が決まる時代です。

 

食材そのものの味ってホント美味しいんですね。

その事に、

脱サラして満足に日本食材を買えるおカネが無く、

半年後に食べられた豆腐と通じて、

この事を再認識しました。

 

豆腐、鰹節、醤油と、

食材に食材が合わさった相乗効果で更に旨味が増す料理って、

すごくシンプルですが、当たり前すぎて注目されない。

べつに注目はされる必要はないのですが、

あまりにも食がビジネスの道具となりすぎてくると、

この感覚が薄れてくると思います。

 

僕はこの素の食材の味を大事にして行きたいです。

変な化学調味料や、変に格好つけた料理の味って、

やっぱり不自然ですし、

「おっ、うまいぞ」と感じなく、

長く食べ続けられないですよね。

 

奴(やっこ)って、

毎朝、何百、何千日と食べても食べ飽きない

すごく素朴でも素材そのもの味の代表例だと思うのです。

 

実はそいうのって、メキシコ料理は結構多いのです。

サルサ(ソース)にしてもトマト、唐辛子、にんにく、玉ねぎ、

たった4種類の素材の組み合わせのソースが、

全メキシコ人の食卓に欠かさずあるわけです。

 

欠かさずですよ!

 

それだけサルサってスゴイ食文化なのです。

トルティージャ一つにしても、チチャロンにしても、ゴルディタスにしても、

昔から続く料理に、素材の味が活かされたものが多いのがメキシコ料理です。

今でこそロール寿司にクリームチーズやイチゴやマンゴを付けて食べる寄食ぶりですが、、、

本来は、素材の味を大事にする食文化なのです。

 

その味覚は一生大事にしていきたいですね。

味覚がしっかりしていれば、オイシイ料理が作れる。

オイシイ料理があるという事は、

しっかりとその文化を守っているということ。

美味しいシンプルな料理が無い場所には、

やはり良い文化は継承されていないのです。

 

メキシコの人気観光地でもそのような傾向にある街があり、残念です。

お店の外見で利用するレストランを決めるのではなく、

素材の味がちゃんと残っているかで判断するべきですね。

 

シンプルなものを大切にすれば、きっとその本来の姿が見えてくると思います。

そんな事を思わせてくれた半年ぶりの冷奴でした~~(喜)