とうもろこしの原点。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ旅行の政府公認ツアーガイド兼ドライバーをしています岩﨑コウです。

今日もメキシコから書いています~

 

とうもろこし。

☝☝☝トウモロコシは黄色だけではないんです

 

スペイン語ではマイス(Maíz)

と呼ばれています。

 

本によると、

マイスの語源はカリブ海の言語から、

スペイン人がメキシコに持ち込んだとされています。

ナワトル語ではtlaolliとか、

elotlなどと呼ばれます。

 

“など”というのは、

部位や熟度によって

呼び名が変わるためです。

 

メキシコ旅行のベテランの方でしたら、

言わずと知れたメキシコ料理を象徴する作物の一つということはご周知の通りです。

メキシコをまだあまりご存知ない方でしたら、

「メキシコのご飯といえばまずはトウモロコシ」

と覚えておいてください。

 

日本食と言えばお米、

というように、

メキシコ料理と言えばトウモロコシです。

 

トウモロコシは世界3大穀物(米、麦、トウモロコシ)の一つであり、

食用だけでなく、

グルコース、エタノールの製造など、

工業用にも使われています。

 

食べ物だけではなく、

飲み物にも使われるという事は、

昨今チョビチョビご紹介している通りです。

 

チアパス州ではPox(またはPosh)という強~いお酒があります。

タバスコ州ではポソル(Pozol)という飲み物があります。

(ポソレという料理がありますが、これはポソです)

ハリスコ州へ行けば、テフイノ(Tejuino)があります。

☝☝☝タバスコ州都ヴィジャエルモサの公園でポソルを売るおじさんと

☝☝☝ポソル。色はカカオの色です

☝☝☝テフイノ

現代でもメキシコの人々に欠かせない作物であるトウモロコシですが、

スペイン人に乗っ取られる前のメソアメリカ時代にも、

トウモロコシは食の中心にあり、

その重要性のため、

神聖化されたものでもありました。

 

なぜそれほどまでに重宝されたかと言うと、

先ずはその

大量の実(タネ)が取れます。

そしてメソアメリカ各地の様々な自然環境に適応していたのです。

下は海岸の砂地地帯から、

上は海抜2900mの高地まで、

その土地の環境に適応したのです。

これ程広くの自然環境に適応したのは、

数あるメソアメリカ生まれの作物の中では、

トウモロコシだけなんです。

 

「便利」

と認められるや否や、

人間はより安定的にそして効率よく収穫できるように、

「栽培」

を始めるんです。

 

トウモロコシにもイロイロ種類がありますから、

人間は自分達に都合のいいものを

「選別」して、

「栽培」するようになるのです。

 

栽培するなら

「耕地」

も必要になります。

耕地も広大な自然環境の中でどこにするか、

「選別」

しました。

 

そのように何百年、何千年という時間の中で、

人間の生活環境に合わせ

「選別」

を繰り返し、

植物もそれに適応してきました。

 

人間とトウモロコシの共生であり、

今日我々が食するトウモロコシはその選別と栽培の結晶なのです。

 

このメソアメリカ(今日のメキシコ)生まれのトウモロコシですが、

現在アメリカ大陸に220~300もの種があると言われています。

メキシコに限れば41-65種という記録がありますが、

文献によりその数が異なります。

 

世界最古の「栽培」の証拠は、

プエブラ州テワカンの洞窟から、

紀元前3000~5000年のものとされる遺物が見つかっています。

これも文献により違いがあります。

 

そんなトウモロコシですが、

その元の元はと言いますと、

teocintle(テオシィントゥレ)

に端を発するんです。

現在も生育している植物で、

生物学的にトウモロコシに最も近い植物とされています。

人間がこの植物からタネを採り、

「栽培」が始まったのです。

実が多くとれた上サイズも大きかったので、

人間の関心を惹いたのですね。

☝☝☝テオシィントレ
写真:https://www.milenio.com/estados/zea-la-planta-misteriosa-que-dio-origen-a-la-reserva

「実が多い」といっても、

一つから5-8個程度で、

いわゆるトウモロコシほど、

一度に大量に採れ、

効率よいものではありませんでした。

 

現在はメキシコ州をはじめ、

オアハカ、ミチョアカン、

ゲレロ州など7州の標高650~1700mでの場所に生育していて、

主に家畜の飼料に使われています。

 

カルビーのやきもろこしも、(笑)

お祭りの焼きもろこしも、

缶詰のスイートコーンも、

その原点はココに繋がるのです。

 

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