メキシコの近代的博物館
週末にMuseo Memoria y Toleranciaという博物館に行って来ました。
近代的な博物館で、
「こんな博物館がメキシコにもあったんだぁ」と、思ってしまうほどでした。
で、なんの博物館かといいますと、
第二次大戦以降におこった人類の人類に対する虐殺、
つまりジェノサイドについて詳細な説明と現物の凶器や遺留品などを展示しています。
説明も分かりやすく、現物の展示や映像や写真も多く、
子供が行っても比較的分かりやすい構成となっています。
最も大きなスペースを割いているのはナチスによるユダヤ人虐殺です。
それにつづき、ルワンダ、カンボジア、ボスニア、
その中に“グアテマラ”とありました。
グアテマラはメキシコのお隣の国で、
メキシコとマヤ文化圏を共有しているんです。
ホセ・エフライン・リオス・モントという大統領が、
政情が不安定だった1982年にクーデターでグアテマラ大統領に就任し、
反政府組織への弾圧を強めました。
その反政府組織の中にマヤ系の民族が含まれていて、
彼らの集落は容赦なく焼き払われ、
1000人以上のマヤ系住民が虐殺されたと言われています。
虐殺といえば、
では大航海時代に当時のヨーロッパの人らにとっての“新大陸”アメリカに、
勝手に乗り込んで来て、
勝手に当時の住民の領土を奪い、
勝手に宗教をカトリック教に改宗させ、
勝手に奴隷の如く教会などの建設に携わらせ、
当時の多くの住民を勝手に殺したスペイン人はどうなんだ?
という疑問に行きつきます。
そもそも当時は虐殺という概念自体が無く、
新大陸の“開拓”についての“事実”の証拠となる書物も残っていません。
このスペイン人の侵略について、
歴史は勝者、つまりスペイン人の視点によって書かれ、
当時の住民の視点から語られることはありません。
アメリカの原子爆弾による民間人への殺戮はどうなのか?
とも疑問が沸いて来ます。
これに関する展示は一切ありませんでした。
昨年の死者の日のブログでも書きましたが、
未だにヨーロッパ人の侵略以前の、
現代メキシコ人のご先祖さん達の時代が、
1521年でプツンとメキシコ史から切り離され、
あたかも別の国と地域のものとして語られている感がするんですよね、、、
ともあれ、メキシコにも語られる事がない、
“よそ者”による殺戮が行われ、
当時の文化も破壊されたという酷な歴史があるのです。
人類博物館に行きましたら是非、
現代と古(いにしえ)の間、
つまりヨーロッパ人(今のスペイン)の到着から統治に至るまでの歴史も、
頭の片隅で想像してみてもいいかもしれませんね。
それにしてもメキシコは複雑です。