タラベラ焼きの話・前編
メキシコ在住15年目、
「メキシコの素顔を世界に!」
をモットーに、
メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。
タラベラ焼き。前編。
メキシコの民芸品の代表格の一つ、
タラベラ焼き。
ガイドブックにも紹介されていますよね。
来月11日で、
ユネスコの世界無形文化遺産に指定されて一年です。
先に少し補足しておきますが、
世界無形文化遺産について、
多くの方が誤解されている点があります。
それはですね・・・
分かりやすい例を挙げると、
「日本食」。
日本食もユネスコの世界無形文化遺産です。
「じゃぁ、お寿司ね!」
となる人が多いんですが、
違うんです!
(☝もうご存知の方は下の※まで飛ばして下さい)
登録は「和食をめぐる文化」です。
日本の歴史、習慣と結びついた技術や知識、食習慣です。
だから特定の日本料理を指すものではないんですね。
だから「無形」なんです。
同様に、
「メキシコ料理」
もです。
☝誤解している人が多いようでして、
中には堂々と「メキシコ料理世界遺産」
という看板まで出しているサイトがあり、
僕はお節介にも「誤解を招く」として訂正を促したことがあるんです。(苦笑)
でもあちらさんは、
「いいえ、メキシコ料理です!」
の一点張り。
僕:「じゃあブリトもですか?」
と聞くと、
あちらさん:「そうです!」
と。
僕:「もういいです・・・」(苦笑)
メキシコ料理の無形文化遺産に関しては、
「ミチョアカン州」の食に関わる知識、技能、習慣、
などの「無形の価値」に限定されるんです。
メキシコ料理全般ではないってことですね。
詳しく知りたい方はユネスコの公式情報をどうぞ☟
「STATEMENT OF TRADITIONAL COOKS SUPPORTING RECOGNITION OF TRADITIONAL CUISINE IN MICHOACAN AS INTANGIBLE CULTURAL HERITAGE」
https://ich.unesco.org/doc/src/04955.pdf
リンク元:
https://ich.unesco.org/en/RL/traditional-mexican-cuisine-ancestral-ongoing-community-culture-the-michoacan-paradigm-00400?RL=00400
Consent of communities: Spanish/English
スミマセン、
前置きが長くなりましたが、
この「タラベラ焼き」も同じです。
※
「タラベラ焼き」そのものが世界遺産ではなく、
「高度な技能を要する製造技術とそれに関わる知識、それが世代を超えて受け継がれ、各地域や工房で独特の個性が確立されている」
という無形の価値が評価されたのです。
更に、
タラベラ焼きの世界無形文化遺産の認定は、
メキシコとスペイン両国にまたがり、
(☝世界初)
メキシコサイドはプエブラとトラスカラ州、
スペインサイドはタラベラ・デ・ラ・レイナと
エル・プエンテ・デル・アルソビスポ
で造られたものに限られます。
☝ココで気付いて頂けたでしょうか。
タラベラ焼きのタラベラとは、
スペインのタラベラ・デ・ラ・レイナから命名されています。
(出典:グーグルマップ)
プエブラとトラスカラと言っても、
広いです。
世界無形文化遺産認定に先立ち、
1995年に特定産地制度により、
「タラベラ」というブランドを
使用できる地域が決められました。
プエブラ州では、
チョルーラ、
プエブラ市、
などの4カ所、
トラスカラは1か所です。
一方で、
これらの地域で焼けばなんでもタラベラ、
ではなく、
ちゃんと伝統的製造方法に乗っ取っていなければなりません。
基本的に6つの工程があります。
陶土の準備、
生型、
装飾、
塗料の準備、
施釉、
焼き
です。
細かく分ければもっとありますが、
基本はコレ。
これらの知識や技能が、
工房や家庭で世代を超えて受け継がれている、
という所に価値があるわけですね。
それでは、
その知識や技能はどこからどう始まったのかというと・・・
次回をお楽しみに~
#MexicoCentralTours
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