メキシコ南部に広がる自然と文化の宝庫

チアパス州中部の魅力
メキシコ南部に位置するチアパス州は、グアテマラと国境を接する自然と文化の豊かな地域です。州名の「チアパス(Chiapas)」は、ナワトル語で「チアが育つ場所」を意味し、“チアシード”で知られる「チア」と同じです。メソアメリカ時代には、チアの種はノパル(サボテン)と並び、染料の定着材としても使われていた記録があります。
チアパスは多くがマヤ文化圏に属する地域ですが、15世紀にアステカで知られるメシカ人が「チアパ」と命名したため、州名はマヤ語ではなくナワトル語由来となっています。こうした多文化的な背景が、チアパスの土地の深みを形作っているのです。
チアパスの最大の魅力は、なんといっても豊かな民族的多様性とそれを今も日常に生かす人々の存在です。チアパスでは今なお多くの地域で、先住民言語が第一言語として使われ、伝統的な衣装や習慣が日常生活に息づいています。
こうした背景から社会的課題も少なくありませんが、それでもなお、土地に根ざした暮らしを守り続ける人々の姿勢は、メキシコという国の中でもひときわ光る存在です。
「インディヘナ」「先住民」という言葉でひとくくりではなく、私たちと同じ“人間”として、彼らの文化や価値観を尊重し、可能な場合はそれらに触れさせていただく。それは観光を超えた、人間的な体験となるでしょう。
祖先を敬い、伝統を誇りに思い、自然と共に暮らす生き方。
私たちが忘れかけている大切な価値観を、チアパスの旅は教えてくれているようです。
チアパス州中部でできること
サンクリストバル・デ・ラス・カサスと周辺の先住民の町を訪ねる

チアパス州の代表的な観光地サンクリストバル・デ・ラス・カサスは、標高約2,200mに位置する美しい町です。そこを拠点に、マヤ系のツォチル族の伝統が色濃く残るサン・フアン・チャムラやシナカンタンなどの村々を訪れ、色鮮やかな民族衣装や他の地域では見ることができない信仰文化に触れることができます。
陸路で体験するグアテマラ国境越え
日本ではなかなか馴染みのない陸路の国境越え。チアパス州南部では、メキシコとグアテマラの国境をまるで「県境」を越えるかのような感覚で体験することができます。異国での貴重なボーダー体験は、旅の思い出に残る特別な瞬間になるでしょう。

チアパ・デ・コルソ遺跡

巨大ピラミッドこそ少ないものの、チアパ・デ・コルソ遺跡では、オルメカ文化とマヤ文明の間に栄えたイツメニョ文化から、初期マヤ都市への発展の過程を垣間見ることができます。マヤ文明のルーツに迫る、歴史好きにはたまらないスポットです。
スミデロ渓谷
チアパスを代表する絶景スポットスミデロ渓谷(Cañón del Sumidero)では、断崖に挟まれた川をボートで進む水上ツアーが人気。さらに、渓谷を見下ろす複数の展望台からは、広大な自然のパノラマが楽しめます。スリルと感動の両方を味わえる、まさにチアパス観光のハイライトです。

チアパス観光の広げ方──他地域と組み合わせて深掘りする旅
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