ラ・ベンタ、サン・ロレンソ、トレス・サポテス──オルメカ三大遺跡を制覇

ラヴェンタ遺跡

オルメカ文化の魅力

メソアメリカ文明の原点、オルメカ文明とは?

「オルメカ」と聞いてピンとくる方は、すでに相当な古代遺跡通かもしれません。思い浮かぶのは、やはり巨大な石の人頭像ではないでしょうか。これらはオルメカ文明を象徴する代表的な遺物です。

Olmeca(オルメカ)という名前は、メキシコ先住民族の言語「ナワトル語」に由来し、「天然ゴム(Hule)の土地に住む人々」という意味を持ちます。この名称は、後の時代にアステカ(メシカ)族がつけたとされています。

オルメカ文明の起源と特徴

オルメカ文明の歴史は、今からおよそ3500年前(紀元前1500年ごろ)にまでさかのぼります。メキシコ湾岸地域、現在のベラクルス州にあるサン・ロレンソで最初の都市文明が栄え始めました。
この時代、地元の人々は「プロトソケ語」という言語を話していたとされます。これは、現在もチアパス州やオアハカ州の一部で使われている希少言語「ソケ語」の祖先にあたります。しかし、実際に当時のソケ語でこの民族がどう呼ばれていたのかはいまだ解明されていません。

なぜオルメカ文明が重要なのか?

私たちMCTツアーがオルメカ遺跡を特集する理由は、後のマヤ文明やアステカ文明に見られるようなピラミッド、羽毛のある蛇などの象徴は、実はオルメカ文化にそのルーツがあるのです。

さらに、次のような文化的要素もオルメカ時代に発展しました:

  • 政治制度の形成
  • 儀式的な球技の起源
  • 芸術性の高い石彫文化
  • 死者のに対する宗教儀式の体系化

これらは後世のメソアメリカ諸文明に大きな影響を与え、解釈の仕方にはいくつかあるものの、「メソアメリカ文明の母」とも呼ばれる所以です。

オルメカ遺跡巡りの旅へ

メソアメリカ文明の起源に興味のある方、またメキシコの古代遺跡をより深く知りたい方には、ぜひ**オルメカ三大都市(サン・ロレンソ、ラ・ベンタ、トレス・サポテス)**のいずれかに足を運んでいただきたいと思います。
メソアメリカ文明の始まりを肌で感じる旅に、ぜひご参加ください。

オルメカツアーで行ける場所

サン・ロレンソ(BC1500ー)

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ベラクルス州南部に位置する「サン・ロレンソ遺跡」は、オルメカ文化最初の都市として知られています。この貴重な遺跡は一般公開されておらず、通常訪れても草原が広がるだけで、ピラミッドなどの建造物は目にすることができません。

しかし、現地の方々の協力を得て、特別な許可を取得することで、通常は立ち入れない遺跡の区画内に入ることが可能です(要事前調整)。オルメカ文明の始まりを肌で感じる、非常に希少な体験ができます。

遺跡のふもとの町には、小さな博物館があり、サン・ロレンソから発掘された出土品が展示されています。また、ベラクルス州の州都ハラパ市にある「ハラパ人類学博物館」では、サン・ロレンソをはじめとしたオルメカ文化の代表的な石彫や土器が多数展示されており、文明の全体像をより深く理解することができます。遺跡とあわせて、ぜひ足を運んでみてください。

ラ・ベンタ(BC1200-BC400)

サン・ロレンソの南東、現在のタバスコ州西端に位置する「ラ・ヴェンタ遺跡」は、オルメカ文明における2番目の主要都市として栄えました。現在公開されているオルメカの遺跡の中では、最も規模の大きいものです。

このラ・ヴェンタでは、オルメカ文明を象徴する4体の巨石人頭像をはじめ、「トゥロノ」と呼ばれる特徴的な石像、「大祭壇」として知られる蛇の石を用いた神聖な構造物、さらには最古のヘビ信仰を示すレリーフやピラミッド型の巨大建造物など、数多くの重要な遺構が確認されています。

これらのオリジナル(本物)は、タバスコ州の州都ヴィジャエルモサにある「ラ・ヴェンタ公園」に移設・保存されており、整備された環境の中で見学することが可能です。現地での遺跡見学とあわせて、ぜひ博物館もお楽しみください。

トレス・サポテス(BC400ー)

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紀元前400年ごろ、オルメカ文明の中心都市ラ・ヴェンタが衰退に向かう中、その文化の流れを受け継いだのが、ベラクルス州南部にあるトレス・サポテ遺跡(Tres Zapotes)です。しかし、この地は単なる継承地ではなく、オルメカ文明の終焉と新たな時代の幕開けを象徴する重要な場所でもあります。

トレス・サポテでは、オルメカ文明を代表する巨石人頭像に加えて、**最古の長期暦(ロングカウント暦)**が刻まれた石碑が発見されています。この歴史的に貴重な石碑は現在、2つに分割されており、片方はメキシコシティの国立人類学博物館に、もう片方は現地の博物館に展示されています。

オルメカの文化を受け継いだイツメニョ文化は一部のオルメカの文化的要素をマヤ文明へと引き継ぎます。その影響は、チアパス州南部やグアテマラの遺跡、そしてパレンケをはじめとするマヤ遺跡に見られるレリーフなどに残されています。

オルメカ観光の広げ方──他地域と組み合わせて深掘りする旅

通常、パレンケをはじめとするマヤ遺跡やユカタン地方を観光される方は、メキシコシティから飛行機で一気に移動されることが多いですが、2〜3日ほど時間を作れれば、オルメカ遺跡を巡ってからマヤ観光に進むことも可能です。

古代メソアメリカの流れを体感しながら、オルメカ文明からマヤ文明へと続く歴史のつながりを、実際にその土地を巡ることでより深く理解できます。ぜひ少し時間をとって、このルートも体験してみてください。

チアパスのマヤ前期の遺跡群からユカタンのマヤ後古典期の遺跡までマヤ縦断ルートに組み入れる
ルート▶チアパス空港➡サン・クリストバル・デ・ラス・カサスと周辺➡オルメカ➡パレンケ➡カラクムル一帯➡メリダ/カンクン
内容▶初期マヤのはじまりから、後期マヤの栄華まで、時代ごとの変化や文化の広がりを体感できます。マヤ文明を深く知りたい方には特におすすめの旅です。
所要日数▶4日~5日

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