【チナンパ】僕がソチミルコにお連れする理由。
メキシコ在住15年目、
「メキシコの素顔を世界に!」
をモットーに、
メキシコ旅行の政府公認ツアーガイド兼ドライバーをしています岩﨑コウです。
今日もメキシコから書いています~
チナンパ。
ある日お客様と話していて愕然としてしまったんです。
何でかといいますと、
僕が、
「ソチミルコ行きましょう!」
と言いましたら、
そのお客様が日本の旅行代理店から、
「ソチミルコは面白くないから行かなくてもいい」
と言われたらしいんです。
僕:「・・・」
ソチミルコって、
Xochimilco
書くのですが、
これもナワトルが由来なんです。
XochiはXochitl=花、
MilはMilli=畑、
Co=場所。
つまり、
「お花畑」
です。
メキシコシティで一日観光されるお客様には、
ほぼ必ずソチミルコにはご案内差し上げています。
まずは市場。
ソチミルコの市場(メルカド)は、
その中も外もメキシコの庶民の生活感を感じられる場所だからです。
新鮮な野菜やフルーツ、
思わずギョッとしてしまう精肉売り場(笑)、
日用雑貨や調理器具から
海賊版ビデオやゲームなど(笑)
ソチミルコの住民の生活そのものなのです。
そしてお連れするのがトラヒネラ(運河巡り)なのですが、
目的がちょっと違うんです。
ガイドブックだとボートに乗って運河を行く事が楽しいなどとありますが、
僕がココにお連れする目的はチナンパです。
Chinampa
と書きますが、
これもナワトル語が由来で、
ChinamはChinamil=柵とか垣根、
PaはPan=~の上に
という意味です。
これ、何かと言うと、
沼地や水深の浅い湖に盛り土をして造った畑なんです。
☝☝☝現在のチナンパ。作物が栽培されています。真ん中は水路です。
この起源については諸説あるようで、
ハッキリとした時期は分からないのですが、
ある説は紀元前200年ごろ、
別の説は800年頃と言われていますが、
最も発達したのはメシカ(アステカ)時代の1300~1500年頃と言われています。
その畑の総作付面積は9000ヘクタール、
東京ドーム2000個弱に匹敵する面積でした。
9000ヘクタールと言っても、
その畑のと言うのは、
最初の頃は幅2メートルぐらから、
広くても4~6mぐらいの長方形の人口の“島”だったのです。
それが発達するにつれて、
19~20世紀には、
幅3~9m、
広いものだと14以上にまで拡大されます。
☝☝☝現在のチナンパ。Ahuejo teという木で“柵”をつくり、
土が流れ出ないようにします。
その人口の“島”と“島”の間には水路があり、
木製のボートで作物の運搬をしていたのです。
これが、
よく写真などで見る、
華やかなボートで遊覧する水路(カナール)、
トラヒネラなのです。
☝☝☝使われなくなった水路。両側はかつてのチナンパ
つまり、
ボートに乗って遊覧するだけなら、
べつにわざわざメキシコまで、
遠いソチミルコまで行ってまでする必要ないですよね~。(苦笑)
もっときれいな所なんか日本にもたくさんあると思いますし、
「遊覧」が目的になると、
冒頭の「ソチミルコなんか面白くない」
というご意見に繋がるんです。
先ほど9000ヘクタールという話に戻りますと、
この作付面積というのは、
当時一人当たり年間160キロのトウモロコシを消費していたと仮定した場合、
約20万人の食を支えるだけの作物の収穫量があったと言われています。
作物によっては、
7期作も可能だったほど、
世界にも類がない、
農業経済的に超効率的な農地・農法であり、
500年以上、
説によっては2千年以上たった今でも使用されてる、
という所に価値があるのです。
注意:
ガイドブックなどに、
浮島とかFloating Gardens
と書かれている場合がありますが、
現在は“浮いていません”。
昔はと言うと、
これも
「わかりません」
です。
ご希望であれば、
チナンパ見学にもお連れしますよ~
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