
ベラクルスの魅力
ガイドブックではあまり大きく取り上げられることの少ないベラクルス(Veracruz)。実はここ、メキシコにとって忘れられない歴史的にも非常に重要な地域です。「ベラクルス」は州の名前であると同時に、同州の中心都市ベラクルス市も指します。
ベラクルス州はメキシコの中東部に位置し、メキシコ湾沿いに南北へと細長く延びる州です。州北部はウアステカ文化やトトナカ文化が息づくエリア。中部には、かつてメキシコの東の玄関口として栄えた港町ベラクルス市があり、南部はメソアメリカ最古の文化・オルメカ文化が栄えた地として知られています。
また、州の西側にはメキシコ最高峰の山、シトラルテペトゥル山(通称ピコ・デ・オリサバ/標高5636m)がそびえ立ち、壮大な自然景観を楽しむこともできます。湿潤な気候の東部と乾燥気味の西部では気候が大きく異なり、ベラクルス州の多様な自然環境を体感できます。
特に注目したいのが、シエラ・ゴルダ・オリエンテ山脈。このエリアは標高と降雨量のバランスが良く、高品質の「ベラクルスコーヒー」の産地としても有名です。コーヒー好きにはぜひ訪れていただきたい場所のひとつです。
ベラクルスには、テオティワカンやチチェン・イッツァのような世界的に知られる遺跡や、カンクンやロス・カボスのようなリゾート地はありません。そのため、外国人旅行者の多くが訪れる「メキシコ旅行のゴールデンルート」からは外れますが、メキシコの本当の魅力を深く味わいたい方にはぴったりの地域です。
歴史や文化をじっくり感じたい中級〜上級者の方にはもちろん、初めてメキシコを訪れる方にも楽しんでいただけるベラクルス観光ツアーを各種ご用意しています。メキシコ旅行の穴場としておすすめのベラクルスで、本物のメキシコに出会ってみませんか?
ベラクルスでできること
アメリカ大陸最初のヨーロッパが生まれた場所を行く

あまり実感が湧かないかもしれませんが、私たちが今「メキシコ」「アメリカ」「カナダ」「中南米」と呼んでいるアメリカ大陸は、わずか500年ほど前まではまったく異なる世界でした。
その地には、アステカ帝国(メシカ)、高度な暦と文字で知られるマヤ文明、そして南米のペルーにはマチュピチュやクスコで有名なインカ帝国が栄えていました。いずれも、ヨーロッパとは独立した独自の文化と歴史を築いていたのです。
転機が訪れたのは1519年、大航海時代の真っ只中。コロンブスと並ぶ“征服者”として知られるエルナン・コルテスが、スペインの艦隊を率いてこのベラクルスの海岸に上陸しました。この瞬間こそが、アメリカ大陸のヨーロッパ化の始まりと言えるのです。
スペイン人が持ち込んだのは、スペイン語という言語、カトリック教という宗教、そして現在でも多くの観光客を魅了する華やかな教会建築や料理、音楽など、多様な文化的要素でした。
今日のアメリカ大陸では、英語・スペイン語・ポルトガル語・フランス語などのヨーロッパ由来の言語が当たり前に話されているのは周知の通りですが、その始まりの地こそがここベラクルスなのです。

このツアーでは、アメリカ大陸で初めてヨーロッパ人によって築かれた町のひとつであるベラクルスの旧市街へご案内します。単なる観光地ではない、メキシコとラテンアメリカの歴史的原点に触れてみませんか?
コーヒー農園で作業体験(時期による)

日本ではまだあまり知られていないメキシコ産コーヒーですが、実は世界のコーヒー生産量でトップ10に入る生産国のひとつです。ほどよい酸味とすっきりした味わいが特徴で、毎日飲んでも飽きがこない軽やかさが魅力です。
メキシコ国内にはいくつかの主要なコーヒー産地がありますが、特に有名なのがベラクルス州、チアパス州、プエブラ州、そしてオアハカ州です。それぞれの地域には独自の風味があり、標高や気候の違いが個性を生み出しています。

私たちのツアーでは、コーヒー農園での収穫作業体験をしていただけます。普段カフェで気軽に楽しんでいるコーヒーが、実際にはどのような人たちによって、どんな環境で、どれほどの手間と時間をかけて作られているのか?——この体験を通じて、その裏側にあるリアルを知ることができます。
さらに収穫のあとは、まるでお米の脱穀のような**果肉除去作業から、洗浄・乾燥・焙煎といった、コーヒー豆が商品として仕上がるまでの全工程をご見学いただけます。希望者には実際に体験していただくことも可能です。
「大変さ」と「ありがたさ」を、このプログラムは、メキシココーヒーの本当の魅力を知るきっかけになるはずです。
バニラ農園で作業体験(時期による)

バニラアイスやスイーツに欠かせない香りとして知られるバニラ。けれど、そのバニラが天然の植物から採れる自然食品であることを、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
実は、この地域(ベラクルス州北部)はバニラの発祥地。ここから世界中へと広まった、まさに**「バニラの故郷」**なのです。
バニラは、地元の先住民トトナカ族の言葉で「シャナッ(Xanath)」と呼ばれ、「花」を意味します。この地では、バニラは単なる香料ではなく、**古代メシカ(アステカ)帝国時代には皇帝への貢ぎ物(年貢)**としても重宝されていました。
そんな神聖な歴史を持つバニラの栽培現場を実際に訪れ、時期が合えば受粉作業や収穫体験をしていただくことも可能です。特にバニラは手作業での人工授粉が必要な繊細な植物で、その貴重さを実感できる体験になるはずです。
メキシコの伝統文化と香りのルーツに触れる体験——バニラのふるさとで、五感を使ってその魅力を味わってみませんか?
オルメカ文化の博物館&遺跡

メキシコと言えば「遺跡」。多くの人がまず思い浮かべるのは、テオティワカンやチチェンイッツァでしょう。
しかし、これらの有名な遺跡を120%楽しむためには、少し俯瞰的にメキシコ全体を見渡すことが大切です。遺跡観光の醍醐味は巨大なピラミッドですが、まずは地図でテオティワカン、チチェンイッツァ、そしてメシカ帝国の首都(現在のメキシコシティ付近)を確認してみてください。
この3つの遺跡は、時代も場所も異なりますが、メソアメリカの歴史を辿ると深い繋がりが見えてきます。これを理解すると、メキシコやメソアメリカの遺跡観光が格段に面白くなります。
特にベラクルス州には、トトナカ文化と並び、メソアメリカ最古の大文化とされるオルメカ文化の影響を受けた地域があります。オルメカ文化は紀元前1800年頃に興り、メソアメリカの文明の基礎を築きました。そこから発展した文化的要素は、約3000年にわたりメソアメリカ各地に間接的に影響を与え続けています。
ベラクルスでは、メソアメリカ最初の大都市遺跡や、そこで発掘された貴重な遺物のオリジナルを展示する博物館もあります。遺跡観光と合わせて訪れることで、より深くメキシコの歴史と文化を体感できるでしょう。
ベラクルス観光の広げ方──他地域と組み合わせて深掘りする旅
観光資源の特性とロジスティクス上の理由で、ベラクルスだけのご旅行より、他の観光ルートに2日~3日追加していただくのが効率的です。
- メキシコシティからオアハカに行くルートにくっ付ける
- メキシコシティ&テオティワカンルートにくっ付ける
- メキシコシティ&プエブラ・チョルーラルートにくっ付ける
- オルメカ&チョコレートルートにくっ付ける
- パレンケ・ラカンドン・オルメカルートにくっ付ける
民族性豊かなオアハカの歴史を体感するツアー
メキシコシティの歴史がよくわかるツアー
歴史と食の街プエブラ市を併せ植民地時代初期の歴史がよくわかるツアー
メソアメリカ文明の始まり、オルメカ3都市を巡る旅
マヤ遺跡&ユカタン半島周遊
写真ギャラリー









こんな方々におススメです!
- 「メキシコの素顔」を感じたい方
- 「移動」の時間を「発見」の時間に変えたい方
- 一般的なツアーでは物足りなくなった方
- メキシコ旅行の中・上級者
- 女子旅
- 特別なメキシコ旅行にしたい方
- 歴史が好きな方
もちろん、上記の方々以外の方でも大歓迎です!