メキシコを代表する伝統行事「死者の日(Día de Muertos)」。

色鮮やかな祭壇やガイコツの飾り、華やかなパレードなど、今では世界中から観光客が訪れる人気イベントです。

でも、なぜメキシコでは死者を明るく迎えるのでしょうか?

そして、ハロウィンとは何が違うのでしょうか?

実は、その背景には古代メキシコの人々が大切にしてきた「生と死」の考え方と、ヨーロッパから伝わった文化との深い関係があります。

今回は、死者の日の歴史と文化について、少し掘り下げてみたいと思います。

メキシコの死者の日
ミチョアカン州の死者の日

前編はこちら

ハロウィンとメキシコの死者の日は別物

現代では、伝統や風習とはあまり関係なく、「とりあえず騒ぎたい!」という人も多いようですね。(苦笑)

日本でもハロウィンには大勢の人が仮装して集まりますが、実はメキシコでも、学校やお店などでハロウィンのイベントが行われています。

では、ハロウィンとメキシコの「死者の日」は同じものなのでしょうか?

結論から言うと、

ハロウィンはヨーロッパのケルト族の習慣やキリスト教と関わりながら発展したもの。

一方、メキシコの死者の日は、メキシコのご先祖様(先住民)の死生観や祖先を敬う習慣に、スペイン人が持ち込んだカトリック文化などが重なり、現在の姿になったものです。

つまり、キリスト教という接点はあるものの、それぞれ異なる歴史と文化を持っているんですね。

わかりやすい例だと、メキシコの死者の日には骸骨風のフェイスペイントをしたり仮装する人達で溢れかえりますが、この仮装はハロウィンのもの。

本来メキシコの死者の日とは何も関係ないものということを強調しておりますね。

あの有名なパレード、実は映画がきっかけ!

メキシコの死者の日と言えば、大勢の人がガイコツに扮して街を練り歩く、華やかなパレードを思い浮かべる方も多いでしょう。

でも、メキシコシティの大規模なパレードは、古くから続いていたものではありません。

きっかけは、2015年公開の映画『007 スペクター』。

映画の冒頭に、メキシコシティの歴史地区で壮大な死者の日のパレードが登場します。

ところが当時、映画のような大規模パレードは実際には存在していませんでした。

そこで映画の影響もあり、2016年に開催されるようになった新しいイベントなんです。

映画で作られた光景が、現実の観光イベントになったわけです。

ちなみに、僕におまかせ頂ければ、映画に登場した撮影スポットのいくつかにもお連れできます。

世界の有名映画のロケ地に実際に行ってみる。これも海外旅行の楽しみの一つでしょう。

こうしたイベントによって世界中から観光客が訪れ、メキシコがより広く知られ、盛り上がるのは素晴らしいことだと思います。

ただ、本来のメキシコの死者の日は、単に仮装して騒ぐための行事ではないということも知っておくことは大事かなと思いますね。

古代メキシコの「生と死」の考え方

メキシコの死者の日を理解するには、まず古代メキシコの人々の世界観を知ることが大切です。

当時の人々の生活を支えていたのが、食。特にトウモロコシ。

実際、死者の日が行われる10月末から11月初めは、トウモロコシの年間栽培周期が終わる時期とも重なります。

古代メキシコの世界観を考えるうえで興味深いのが、「生と死の二重性」という考え方です。

例えば、トウモロコシは収穫すれば、その成長が一つの終わりを迎えます。

しかし、収穫したトウモロコシの一部を乾燥させて畑に蒔けば、再び新しい生命が芽生えます。

つまり、

「収穫」→「終わり(死)」→「発芽(生)」

という循環です。

生と死は必ずしも正反対のものではなく、互いに深く関わり合っている。

仏教の輪廻転生にも、どこか通じる考え方かもしれません。

古代メキシコでは、こうした世界観のもとで神々に供物を捧げる儀礼が行われ、有名なものだとメシカ(アステカ)の時代には、人間の心臓を捧げる生贄の儀礼も存在しました。

メキシコ,観光,ツアー,ガイド,アステカ,生贄

▲ メシカ時代に生贄の儀礼に使用された本物の石。黒曜石のナイフで胸を切り開き、心臓を取り出す儀礼が行われていました。

スペイン文化との融合で生まれた現在の死者の日

16世紀、スペイン人の到来によってメキシコにはカトリックの信仰が持ち込まれました。

カトリックでは11月1日が「諸聖人の日」、11月2日が「死者の日(信者の死者の記念日)」にあたります。

一方、メキシコの先住民には、古くから「死」を崇める習慣がありました。ただ、現在のように特定の日は定められていなかったのです。

これらの文化が長い年月をかけて重なり合い、現在の死者の日が形作られていったのです。

ヨーロッパ文化の影響が垣間見れる要素として、現在の死者の日に欠かせないガイコツの飾り「カラベラ」。

リメンバーミーにも登場する切り紙。

そして、「パン・デ・ムエルト」と呼ばれる死者の日のパンなどがあります。

こうしたものにも、「融合」の歴史がみられるのです。

死者の日の祭壇は昔から同じだった?

死者の日を象徴するもう一つの存在が、オフレンダ(Ofrenda)と呼ばれる祭壇です。

故人の写真や好物の食べ物、花(センパスチル)、キャンドルなどを飾り、亡くなった家族を迎えます。

▲ 映画『リメンバー・ミー』の世界を思わせる、ミチョアカンの村の祭壇

ただし、現在のような祭壇がスペイン人の到来直後から全国に存在していたわけではありません。

長い時間をかけて各地で異なる習慣が発展し、20世紀にはメキシコの国民文化を象徴する行事としても広く紹介されるようになりました。

1930年代のラサロ・カルデナス政権期には、彼の出身地ミチョアカンの死者の日をメキシコ全土に広める動きも強まりました。

▲ 現在では、家庭によって祭壇を簡素化することもあります。

その影響もあって、今日有名なメキシコシティのミスキク(Mixquic)の死者の日のカタチも、ミチョアカン州の影響を受けたものなんです。

今でも墓地に花やロウソクを飾り、亡くなった人々を迎える伝統の一部が受け継がれています。

こうした地域の風習に触れると、死者の日が単なるお祭りではないことがよくわかります。

だからこそ、世界無形文化遺産

メキシコの死者の日は、2003年にユネスコから「人類の口承及び無形遺産に関する傑作」として宣言され、2008年に無形文化遺産の代表一覧表に記載されました。

華やかなパレードも楽しいですが、その本当の魅力は、亡くなった人々を忘れず、家族や地域の伝統を大切に受け継いでいることにあるのではないでしょうか。

歴史や文化を知ってから訪れると、同じ景色でも、きっと違ったものが見えてくると思います。

さて、スペイン人がやって来る以前、古代メキシコの人々はいったい何を供え、どのように死者を敬っていたのでしょうか?

そのお話は、また次回に~

関連ツアー

【死者の日ツアー】本物の「死者の日」を体験するメキシコツアー 9日間~

ミチョアカン・オアハカ・メキシコシティ死者の日文化周遊ツアー年1回・ご案内枠限定|2027年~2029年受付中 点ではなく、線で体験。ただの「死者の日」で終わらない、一…

初めてのメキシコ旅行で不安な方へ

とはいっても、知らないメキシコで個人で対策しても心配・・・
そんな方は、メキシコ政府公認ガイドの岩﨑功にお任せください。安心して楽しい体験だけに集中していただけます。

SNSにてメキシコの写真と動画を多数アップしています!

20年に渡りメキシコの社会にどっぷり浸かり生活している私から見た「メキシコの素顔」を、文章、写真、動画でご紹介しております。「飾らないメキシコ」をほぼ毎日撮り続けて1500投稿以上、日本語のメキシコ関連では最大規模のSNS!Mexico Complete Travel でも検索🔍いただけます。ぜひフォローをお願いします!

人生のリバイバルコーチング事業

私岩﨑はICF(インターナショナル・コーチング・フェデレーション)認定ライフコーチング業も営んでいます。
皆さんが一度限りの人生、限りある人生を有意義に生きられるようお手伝いさせて頂きます。
詳しくはこちらのホームページをご覧ください。