【死者の日の花】センパスチル。
メキシコ在住15年目、
「メキシコの素顔を世界に!」
をモットーに、
メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。
センパスチル。
Cempasúchilと書きます。
日本で大人気だった?
リメンバーミーを見た方や、
メキシコの死者の日にご滞在された方でしたら漏れなくご覧になられています、
あのお花ですね。
☟これです
スペイン語圏以外ではマリーゴールドと呼ばれていますが、
これ、
メキシコ出身のお花ですので、
で・き・れ・ば、
センパスチルと呼んで頂きたいです。(笑)
メキシコ原産という事は、
昔ぁ~しからあったということです。
どれぐらい昔からあるのか、
ちょっと僕の知識不足でまだ調べてられていないのですが、
少なくても、
あのアステカでしられる、
メシカ時代(1300~1500年代前半)には、
このお花が「元祖死者の日」に使われていた、
という記録が残っているんです。
メシカだけでなく、
他の文化、
チアパスのマヤ、
ミチョアカンのプレペチャや、
ベラクルスのトトナカ文化など、
カタチは違えど同じ目的、
つまり死者を敬う習慣で使われていたんですね。
それもそのはず、
このお花は雨期が終わった後、
10月から11月にかけて咲く、
季節の花です。
この時期というのは、
トウモロコシの収穫と重なるので、
メソアメリカ時代の人々は、
トウモロコシの収穫の儀式を行っていたんですね。
日本でも秋にお祭りが多いのは、
お米の収穫の時期と合わせているからです。
収穫、
つまり死を迎えて、
次の生に繋げるための儀式です。
それを人間の死者と繋げていました。
だからこの時期に、
この季節に咲くセンパスチルで
お墓や祭壇を飾り、
死者を敬うんですね~。
センパスチルもナワトル語が語源なんです。
元々はCempohualxochitl
センポウァルソチトゥルと呼ばれていたものが、
後にCempasúchilとなりました。
Cempohualは20、
Xochitlは花という意味です。
なんで20なのか。
実は、
ベラクルスにセンポアラ(Cempoala)というトトナカ文化の遺跡があるんですが、
その意味については二つあって、
未だにどちらなのか、
解明されていないようです。
20という数字は、
メソアメリカ時代に使われていたカレンダーの日数に一致します。
当時は一ヶ月20日を18週+5日で回していました。
きっと当時は、
20という数字は特別のものだったんですね。
死者の日には、
この花で、
表の道から屋内の祭壇に“道”をつくってあげて、
死者が迷わず戻って来れるようにします。
昔の人にとって、
センパスチルは太陽を象徴していて、
太陽の熱を吸収し、
それが光となって“道”を照らすとも考えられていたようです。
そんな「死者の日」用の装飾用としてだけでなく、
昔の人は薬としても使っていました。
その効能は様々で、
腹痛、下痢、生理痛、歯痛、吐き気などの症状に効くとの事です。
基本的に煎じて飲んでいたようですが、
お香のようにしたり、
傷口に直接つけたりもしていたそうです。
生息地域は多岐にわたり、
メキシコシティ周辺や、
プエブラ、
グアナファト、
イダルゴ、
ミチョアカン、
チアパス、
サンルイスポトシ、
トラスカラなどが主要な生産地です。
染料としても使え、
現在では中国でも多く生産されているか。
メキシコには30種(別の公式資料では35種)が生息しているようです。
ということで、
ただ綺麗なオレンジ色、
黄色のお花じゃないんです。
季節的な要因と、
メソアメリカ時代の儀式の時期が、
ちょうどこの時期に重なり、
あのメキシコの象徴的な雰囲気を醸しだしているんです。
「マリーゴールド」をみましたら、
メキシコを思い出して、
「センパスチル!」
と唱えてみて下さい。(笑)
ではでは~
#MexicoCentralTours
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