かつて同じ船に乗った2人のスペイン人の運命の分かれ目・中編
メキシコの旅行事情、生活事情を赤裸々につづっているメキシコブログ「キオテ通信」です~。
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前回はこちら👇です~
カンクンからコスメル方面を望む。この海を“筏”で往来していました。
スペイン船の座礁からユカタン半島東岸に漂着
実は、
ここから先のストーリーは、
参考資料によって少し異なります。
両方とも政府機関の出典なのですが、
それでも異なるものになっています。
サンタ・ルシア号はサンゴ礁にぶつかり座礁して、
僅かに残った水と干し肉だけもって
手漕ぎの救命ボートでカリブ海に漕ぎ出したのでした。
説1、
漂流してユカタン半島のホルボシュ(ホルボックス)島の最北端部、
カトチェ(Catoche)の砂浜に漂着したとのこと。
説2、
同じく漂流して、
トゥルムの南シアンカーン自然保護区の海岸線に漂着したというもの。
こっちの方が信憑性が高いようです。
👇こことここです。
それで、漂着した後ですが、
これも説が異なります。
説1では、
漂着後砂浜で気を失っていたところ、
マヤ人に取り囲まれていたそうです。
その後マヤ人の街に連行されます。
その街に入るや否や、
群衆が道や広場に集まって奇妙な声を発しています。
捉えられたスペイン人達は服を脱がされ、
全身を鮮やかな青色で塗られ、
監獄に閉じ込められます。
すると一人一人呼ばれ、
その監獄からは同僚がゆっくり“ピラミッド”を登る姿が見えたそうです。
そのピラミッドの上で行われていたこととは・・・
生贄の儀式です。
これにより、
同僚であるディエゴとヴァルディヴィアという二人の幹部が殺されます。
運良くその日の“生贄”を免れたヘロニモとゴンサロは、
その夜に脱獄に成功します。
運命の分かれ目
来た道を戻りますが、
追手に気付き二手に分かれます。
ヘロニモはほどなくして捕まり、
カンクンの西の方にあった村に連れて行かれます。
そこで“奴隷”として、
薪を集めたり首長の側室?達の世話をしていたとか。
一方のゴンサロはと言うと、
なんとユカタン半島の南下を続け、
ベリーズとの国境の街チャクテマル(今日のチェトゥマル)に到達し、
その彼をそこの首長が迎え入れます。
👇ここ
その首長は、
初めて見るゴンサロの漁や建築のスキルなどに感心し、
後に自身の従者としてマヤ式の戦術を教え、
戦いに参加させます。
更には彼の実の娘とも結婚させ3人の子供を儲けます。
説2では、
今のシアンカーン自然保護区の海岸に漂着した後、
1と同じように捕まり食事が与えられますが、
仲間が生贄の儀式で殺され、その後脱獄します。
2人はとある村に行きつき、
そこの首長に仕えるようになります。
チェクテマル(現チェトゥマル)と同盟を結ぶため、
その首長はゴンサロを差し出します。
その後ゴンサロはガイジンながらチェクテマルの戦を率い、
チェクテマルの首長の娘と結婚し3人の子を儲けます。
説1と説2、
プロセスに違いはみられるものの、
難破し、漂流し、ユカタン半との海岸に漂着し、マヤ人に捕まり、
運良く生贄を逃れ、脱獄し、別れ、マヤ人女性と結婚し3人の子をもうけ、
その後全く違う運命を生きる事になる、
という点は同じです。
漂着から8年後
さてここからは、
その「違う運命」についてです。
漂着から8年経った1519年に、
メシカ帝国、
そしてその後メソアメリカを乗っ取ったエルナン・コルテスが、
先日紹介しましたコスメル島に到着します。
それに先立って、
前年の航海で捕らえたマヤ人の情報から、
ヘロニモないしはヘロニモとゴンサロの二人が
コスメル島にいるという事を知っていたのです。
コルテスはマヤ人の遣いに、
コスメルに捕らえられていた同士に宛てた手紙と土産を託し届けさせます。
それは無事にヘロニモ届きます。
ヘロニモはゴンサロにその事を告げますが、
ゴンサロは帰還を拒否してしまうのです。
彼の返答はこうでした。
「私は結婚していて子供が3人いる。容姿も完全にマヤ人だ。こんな私をみたらスペイン人達は何て言うだろう」
と。
そう言ってゴンサロはマヤ社会に留まったのでした。
運命の岐路。
その後、ヘロニモはどういう道を歩んのか・・・
そしてマヤ人と化したゴンサロは・・・
後編で~
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