ただ美味しいだけじゃない大衆料理ポソレとは。

メキシコ在住15年目、

「メキシコの素顔を世界に!

をモットーに、

メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

ポソレ。

 

先日トウモロコシの所で、

ポソというトウモロコシとカカオの飲み物を紹介したと思います。

 

これはポソです。

飲み物ではなく料理ですね。

 

僕の感覚ですが、

メキシコ料理の中での位置づけでは、

日本でいう牛丼のようなものだと思っています。

 

料理自体はスープ系で、

まったく別のものですが、

では何が「牛丼のよう」なのかというと、

「旨・早・安+24時間営業」

のチェーン店があるからです。(笑)

 

ちょっと大げさかもしれませんが、

まだまだメキシコには日本の牛丼チェーンのように、

どこに行ってもそういうお店があるというわけではありませんが、

少なくても首都メキシコシティでは、

その店舗数は多くなっていて、

中には24時間営業の店舗もあります。

 

これ、

僕の大好物のメキシコ料理なんです。

前置きが長くなりましたが、(苦笑)

それで何の料理かと言うとですね、

トウモロコシのスープです。

☝☝☝ポソレ・ロホ(赤ポソレ)

 

トウモロコシといっても、

日本で一般的なスイートコーンじゃないんです。

 

現在メキシコに存在する

40種類以上と言われる種類のトウモロコシの中でも、

一般的にカカワシンィトゥレという品種を使います。

粒が大きくて白いのが特徴です。

☝☝☝市場で売っているマイス・ポソレロ(ポソレ用トウモロコシ)

 

このポソレって

Pozole と書くんですが、

これはナワトル語のPozolli

が語源です。

意味は「煮る」です。

 

それで何を「煮る」のかと言うのが今日のポイントなんです。

 

現代のポソレの具材は、

トウモロコシを筆頭に、

豚か鶏肉、

レタスや株、

アボカド、

チチャロン(豚皮を揚げたもの)

などです。

 

このポソレと言う料理、

メソアメリカ時代には

tlacatlaolli

(知らなくてもいいです 笑)

と呼ばれていまして、

その意味はというと、

「人間から削がれたトウモロコシ」

という意味なんです。

 

「!???」

 

これまでにも、

トウモロコシはメソアメリカ時代から、

生命を育む神聖な作物としてされてきた、

と書いてきました。

 

つまり、

トウモロコシ無くして生命の誕生は無いという概念が根幹にあるんですね。

それ故、

生命(人間)・作物(ともろこし)・神を、

「繋げた」んです。

 

儀式によって、

その年のトウモロコシの豊作を神様に祈ったのです。

でも、

ただでは「豊作」はもたらされません。

メソアメリカの世界観は、

「死は生を生む」

です。

「生」とは、

人の命であったり、

トウモロコシをはじめとする作物の生育を意味します。

人や作物に「生」を与える「水」もまた「生」です。

 

それらの生が生まれるように、

神聖な死を神に捧げる

「生贄の儀式」

が行われていたんです。

 

メシカ(アステカ)帝国の首都テノチティトランでは、

トウモロコシの豊作を祈願する儀式が、

毎年春分の日の前後に行われていました。

その行事をTlacaxipehualiztliと言うのですが、

(これも知らなくてもいいです 笑)

ポソレは主にそこで作られていた「神聖な料理」だったんです。

 

先日少しご紹介しました「太陽の石」

生贄の石テマラカトゥルというのですが、

この石の上で戦争の捕虜や奴隷が縛られ、

メシカ(アステカ)の戦士と決闘するんです。

グラディエイターです。

当然捕虜は殺される運命にあるのですが、

殺された後は皮を剥ぎ取られます。(驚!?)

 

これには理由があるのですが、

「剥ぎ取る・剥く」

という行為には、

トウモロコシを覆う皮を剥ぎ取る

という行為と重ね合わせているんです。

☝☝☝幾重にも重なるトウモロコシの皮を剥ぐと実が出てきます。
このトウモロコシも粒が大きいですが、市場の人曰くポソレ用ではないそうです。

 

その後、

その生贄の肉をトウモロコシと一緒に「煮る」のです。

不思議な事に「焼いた」という記録はないようです。

こうしてできたものが、

トゥラカトゥラオリ

(Tlacatlaolli)、

つまり現代のポソレの原型です。

 

今でこそ誰でも食べられ、

超一般的なメキシコグルメですが、

当時は非常に神聖なもので、

メシカ(アステカ)帝国の貴族しか食べる事が

“できななかった”

のです。

 

今のように

「庶民的で人気の食べ物」

ではなかったんですね~。

 

特に腿と腕の肉が食べられたそうですが、

右腿は皇帝(トラトアニ)に捧げられました。

 

この生贄の「人体を食べる」

という行為にも意味があります。

神との同化です。

神聖な生贄の「肉」を自らの体内に取り込む、

つまり「同化」

という意味合いがあるんですね。

 

たんぱく源は、

野生の動物や、

昆虫類も食べていたので、

「人肉」

を食べなくてもタンパク源には困らなかったわけです。

人肉を食べていた理由は、

タンパク源の確保ではなく、

こういう理由なんですね。

 

その後スペイン人が入って来て、

この光景を目にしてギョッとするわけです。

あるスペイン人将校がハリスコ地方に遠征した際、

とある村の重鎮から「オモテナシ」

を受けたそうです。

食事に招かれて行くと、

そこでまさに、

「元祖ポソレ」

を調理していたそうです。

 

このように驚愕したスペイン人達は、

以降、

「人肉の使用を禁止」

するのです。

 

そこで代替されたのがです。

今でこそメキシコは豚肉の生産が多い国で、

日本の豚肉輸入量で4番目ですが、

それまでは豚肉はメソアメリカの地には無かったんですね。

味、食感が、

人肉に似ているからだとか・・・(苦笑)

 

そんな歴史があるポソレですが、

今ではメキシコの大衆食です。

もちろん「人肉」は入っていません!!

 

そんな背景があるってことだけ知って食べて頂ければ、

メソアメリカの世界観も

感じることができると思います!?(笑)

 

各地域でもそれぞれスペシャリティがありますので、

訪れた先々でイロイロ試してみるものイイですね。

☝☝☝ゲレロのポソレはサッパリしていて美味しいです。

 

#MexicoCentralTours

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