メキシコの治安:本当に危ない時は私が国外退避するときです。


ちょっと、SNSやニュース界隈が酷いので、急遽メキシコの治安について書くことにしました。
2026年2月22日、Nemesio Oseguera Cervantes(通称エル・メンチョ)の死亡が報じられました。彼はメキシコにある数々の反社会的勢力の中でも最大規模とされるCártel Jalisco Nueva Generación(CJNG)の創設者であり、長年にわたりメキシコ治安の象徴的存在とされてきた人物です。
このニュースをきっかけに、日本語・スペイン語・英語など言語を問わず、SNSや一部メディアでは「メキシコ全土が戦場化」「渡航は極めて危険」といった刺激的な投稿が急増しました。
しかし、メキシコ在住の公認ガイドとして、まずお伝えしたいのは――一次情報を基に判断することの重要性です。
「メキシコ在住者」という投稿者の中には「私が住んでいるレオンで暴動が起き3人死亡!」と書いている人がいますが、べつにこの暴動前の“平時”でも、レオンは1日平均1.5人の殺人件数です。時には3人または」それ以上亡くなった日だってあるでしょう。
放火だって、幹線道路の封鎖だって、別に今に限ったことではありません。
実際に起きていること
まず、連邦警察や軍と犯罪組織との衝突による死傷者の発生、道路の封鎖、車両や商店への放火、これらは事実です。
エル・メンチョ(リーダー)の死亡後、ハリスコ州やミチョアカン州など一部地域では、報復的とみられる道路封鎖や車両放火が発生しました。短期的に緊張が高まるのは、組織犯罪の世界では珍しいことではありませんし、これまでに起こっていることです。
これらは犯罪組織が社会の混乱を意図的に引き起こすための手段でもあります。
重要なのは、それが「メキシコ全土」に及んでいるわけではないという点です。
メキシコは日本の約5倍の国土を持つ広大な国です。州ごとの治安状況は大きく異なります。観光地として日本人が多く訪れるエリア――メキシコシティ中心部、ユカタン半島の主要都市など――では、通常通りの生活と観光活動が続いています。
「一部地域で緊張がある」ことと「メキシコは全面的に危険」という話にはとてつもなく大きなギャップがあります。
なぜ“過剰な危険情報”が広がるのか
このような事件が起きると、決まってアルゴリズムは刺激的な言葉を優先します。
- 「戦争状態」
- 「危険」
- 「無法地帯」
- 「渡航制限」
こうした言葉は拡散されやすいですが、拡散力と正確さは比例しません。
特にSNSでは、
・現地に住んでいない人の推測➡2次3次情報で雪だるま式に恐怖が増幅
・「いいね」目当ての扇動的投稿
・過去の映像の再利用
・特定州の事件を“メキシコ全体”として語る投稿
が混在します。
フェイクニュースでなくても、文脈を欠いた情報は簡単に誤解を生みます。これはメキシコの治安に限ったことではありませんね。昨今の日本の選挙戦をみていても同じことがいえます。
「危険ゼロ」ではない。しかし、それは以前から同じ
メキシコは「どこでも安全な国」ではありません。
しかし同時に、「どこでも危険な国」でもありません。
これは今回の件以前から変わらないこと。
観光客が遭遇するトラブルの大半は、
・路上及び車両強盗
・スリ
・置き引き
・ぼったくりタクシー
など、世界の観光都市と同種のものです。
組織犯罪同士の衝突に、通常の観光客が巻き込まれる確率は極めて低いのが実情です。
むしろ、アメリカやヨーロッパにある学校や観光地を狙った無差別テロが“無い”点においては、メキシコの方が安全とも言えます。
今回のポイント:短期的な緊張と中長期的な再編
専門家の見立てでは、今回の出来事は「終わり」ではなく「再編の始まり」です。
短期的には一部地域(特にメキシコ中西部)で不安定化する可能性がありますが、観光地の治安レベルが全国的に急激悪化する兆候は「ない」と言えます。
国家としても、ワールドカップという国際的な大型イベントを控える中で観光地の安定維持は重要課題です。
中長期的にみれば、もしかしたら新たな“狂暴”なリーダーが出現し、今では予想できない方向に動く可能性はあります。または組織が細分化し、既に縄張り争いがある特定地域では情勢不安定になる可能性もあります。
ただ、良くも悪くもお隣にアメちゃんがいるので、そう好き勝手にはさせないし、させてくれないでしょう。反社組織が勢力を拡大すること自体、メキシコにとってもアメリカとっても良くないことですから。
旅行者が取るべき「冷静な対策」
過剰に恐れる必要はありませんが、無防備で良いという意味でもありません。これはこれまでのメキシコ旅行とも、日本以外の国を旅行するときとも同じと言えます。
- 地域単位で情報を確認する➡例えばミチョアカン州全域ではなく、ミチョアカン州西部で見る。東部は低リスク。
- 夜間の不要な移動を避ける➡SNSに出ているように安易に「車中泊して襲われた」「夜行バスで2度襲われた」ということにならないように。
- 信頼できる移動手段を使う➡Uberなどを信頼しすぎない。現地の人でも用心していますから、土地勘の無い旅行者ならなおさらです。
- 現地公認ガイドや地方の情勢に精通している現地の人の情報を参考にする➡現地在住の人でも知らない人は多いので、「訊く人」をしっかり選ぶこと。
- 一次情報で確認する➡SNSやニュース情報を鵜呑みにしない。
これだけでリスクは大きく下げられます。海外旅行とは、本来自分で責任を持って情報収取し、自分の安全を自分で確保するものです。
扇動的な「恐怖」よりも、しっかりと「現実」を見る
私は20年に渡りメキシコで生活し、家族を持ち、メキシコ各地へお客様をご案内する観光ツアーを行っています。
今日、メキシコシティの街は通常通り動いており、今これを書いているカフェも、子供が行く学校もお店も何も変わっていません。
ニュースは「異常」を報じます。しかし、旅行者が体験するのは「日常」です。もちろん、慎重さは必要ですが、冷静な判断のもとで計画された旅行まで否定する状況ではありません。
そして、ひとつの目安
最後に、あえて率直に書きます。
「本当に危ないメキシコになった時」とは、現地在住20年のメキシコ公認ガイドである私が国外退避する時です。
私はここで生活し、家族を守り、仕事をしています。根拠のない楽観も、無責任な危険煽りもしません。
もし本当に日常生活が成り立たないレベルになれば真っ先に判断します。その時ははっきりと「メキシコは危険すぎるので退去します」と発信します。
(自分が死ぬまでに99.99%そうならないと思っていますが)
現状は、
✔ 一部地域で緊張はある
✔ 過剰報道や誇張投稿は拡散している
✔ しかし多くの観光地は通常通り機能している
大切なのは恐怖ではなく、情報の質で判断すること。
メキシコは、他国同様に様々な問題を抱えながらも、豊かな文化と人の温かさを持つ国です。
五感で体験する価値は、今も変わっていません。
他国への旅行と同様に、冷静に、正しく備え、そして流されないこと。それが、今のメキシコと向き合う最善の姿勢だと私は考えています。
もし今メキシコ旅行をお考えで、この出来事に不安を感じている方がいらっしゃいましたら、どうかお気軽にお問い合わせください。
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20年に渡りメキシコの社会にどっぷり浸かり生活している私から見た「メキシコの素顔」を、文章、写真、動画でご紹介しております。「飾らないメキシコ」をほぼ毎日撮り続けて1500投稿以上、日本語のメキシコ関連では最大規模のSNS!Mexico Complete Travel でも検索🔍いただけます。ぜひフォローをお願いします!
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