メキシカントリュフ!?ではなくて、クィトゥラコチェとは。
メキシコ在住15年目、
「メキシコの素顔を世界に!」
をモットーに、
メキシコ公認ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。
メキシコ版トリュフ!?
クィトゥラコチェとは。
☝☝☝コレ、ウィトゥラコチェと言います。250gで60円ぐらいです。
何でしょう?野菜?
日本語で
ウィトラコチェって探してもらうと、
いろんな旅行記のようのなものが出てきます。
だいたいどれも、
「変な食べ物!」
とか、
「グロイ!」
などと、
いろいろ騒がれています。
まぁ、
分からんでもないですが。(苦笑)
あとは
「メキシカン・トリュフ!」
や、
「何千年も前から食べられていた!」
何というものも。(☝デタラメ)
でもそんなクィトゥラコチェの背景を書いたものが無いのが残念。
で、
これ何かというと、
トウモロコシに生えたキノコです。
(カビというと聞こえが悪いので、、、
ってもう言ってしまいましたが・苦笑)
コレです☟
クィトゥラコチェと
ウィトゥラコチェと、
二通りの呼び方があるんですが、
結論、
どちらも正しいです。
基本的に、
食材としては、
ウィトゥラコチェで通っています。
クィトゥラコチェは、
メソアメリカ時代の呼称ですね。
クィトゥラコチェは
Cuitlacoche
と書くのですが、
これももちろんナワトル語が語源。
Cu í tlatlは“糞”、
Cocheは“夢”⇒神様
ようは“神様の糞”として、
大地を豊かにするものとして敬われていたそうです。
ただ、
大事な食料であるトウモロコシが、
こんな“異常”な状態になってしまっては、
不都合極まりないです。
だから現実的には“いやなもの”として見られていました。
その証拠に?
メソアメリカ時代にクィトゥラコチェが食用として、
人々の生活の中に存在していたという考古学的証拠は、
「ない」
です。
初めて記録に登場するのが、
スペイン人が来たあと。
スペイン人のサグンさんが書いた有名な史書に、
初めてそれらしき“絵”が出て来るんです。
そこにはCujtlacochiの文字が。
これもナワトル語ですが、
その意味は「おかしなもの」。
トウモロコシを覆う黒い物体を指しています。
マヤ文化圏でも同じ現象が起こっていたようで、
雨の神様の関係があると考えられていたそうですね。
それでこの食材ですが、
ずぅ~と昔から食されていたと勘違いされていますが、
一般的になってきたのは、
意外にも最近なんです。
1900年代中頃ぐらいです。
それまでは、
農民の“非常食”として、
表舞台に出ることなく食されていました。
それに変化をもたらしたのが、
1800年代後半から1900年代初めにかけて入ってきた、
ヨーロッパ(特にフランス)志向です。
これに乗っかって、
クレープなどのフランス料理に、
この“メキシカン・トリュフ”、
クィトゥラコチェが使われるようになったのです。
当時は「メキシコ」=遅れたものとして考えられていて、
それを皮肉ったカトリナ(帽子を被ったガイコツ)の話を先日しましたよね。
どうにかして、
「ヨーロッパ風にしたかった」
「ヨーロッパ人のように粋りたかった」
ようで、
そこからクィトゥラコチェが上流階級にも広まり始め、
そこに1900年代中頃のナショナリズムも乗っかり、
メキシコ料理の象徴的存在になりました。
てことはですよ、
クィトゥラコチェ(ウィトゥラコチェ)が一般の食卓に上がるようになってから、
まだ100年も経っていないんですねぇ。
その後需要が高まるにつれて、
トウモロコシの生産者も、
クィトゥラコチェを“生産”し始めます。
20年ぐらいまでは、
雨が降らない1月~2月というのは“生産”がなかったんですが、
今日では通年で栽培されています。
地方各地によって、
その使われ方が違ってくるもの特徴てきですね。
首都近郊ではタコスやケサディジャ、
ベラクルスではくすりとして、
でもアカプルコがあるゲレロ州やチアパス州では、
食用ですらないです。
そんなわけで、
昔は“嫌われ者”だったクィトゥラコチェ。
でもメソアメリカ時代から、
ひょっとしたら数千年も前から存在はしていた“神聖なもの”を、
怖がらず、
ぜひぜひご賞味ください~(笑)
#MexicoCentralTours
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