地域の産品から本質的な価値を考えたい・後編

メキシコ在住16年目、

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公認日本語ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

今日も呑気にメキシコから書いています~

 

地域の産品から本質的な価値を考えたい・後編

☝とっても気さくな方でした。

 

昨日の続きです~

 

Kumiaiの意味は

「沿岸の、海岸の」。

その名の通り、

クミアイの地域というのは

海側にあります。

 

現にクミアイの“遺跡”からは、

貝殻などの海産物の遺物が見つかっています。

 

2010年の国勢調査の段階で、

話者が3人程でした。

その3人の方はもう亡くなられてしまいました。

 

この北部には少なくても5つのクミアイの村があります。

その内の一つサン・ホセ・デ・ラ・ソラ(San José de la zorra)に行ってきたのですが、

今の人達はクミアイ語は「わかる」ものの、

日常生活では殆ど使わないとのこと。

 

聞いて分かるけれど、

「話せない」ということです。

 

「なんで子供に教えないの?」って聞いたら、

「時代の流れ」

という返答。

 

僕が話した方の子供さんは、

もうクミアイ語はわかりません。

 

こうやって、

また一つ、

メキシコの、

いいえ、

「人類の遺産」が消えていくのです。

 

クミアイの伝統の一つとして、

スペイン語でセステリアというものがあります。

こういうものです☟

ここでは小物が多いですが、

厳密には籠などの大きいものを指します。

 

日本語でなんて言うんでしょう。

 

材料はイグサです。

この村では子供のころから作り始めるものです。

 

正直に言います。(笑)

 

「資本主義」という視点から見ると、

彼らが作る籠などの製品は、

たぶん、

実用的な「モノ」としての価値は低いと思います。

 

たぶん、

お店に並んでいても、

「買わない」でしょう。(苦笑)

 

しかも「高い」。

 

冒頭の写真で僕が持っている丸いものは3万円ぐらいします。

メキシコシティの店では2倍、3倍します。

 

だから多分普通誰も買わないと思います。(苦笑)

 

でもです。

ちょっと視点を変えるとそう単純な話でもなさそうです。

 

僕が持っているサイズのもので、

制作に3カ月ぐらい掛ります。

 

3ヵ月で3万円ですよ。

月に1万円の収入。

 

じゃあ、

機械で造ればいいじゃんってなるのでしょうが、

そういう資本主義的な浅はかな話じゃないんです。(苦笑)

 

もっと深い話。

 

そもそも機械でできるものじゃないかもしれないですし、

機械でやったら、

べつにクミアイの人達じゃなくてもいいわけです。

 

つまり、

他の工業製品と同じものになります。

 

クミアイの人達が、

クミアイの伝統にのっとって、

クミアイの場所で作るから価値が出て来るわけです。

 

これはクミアイに限ったことではありません。

他の地域の産品にも同じことが言えます。

 

オアハカの通称アレブリヘスだって、

中国で作ったものには「価値」そのものがないんです。

 

だから僕は、

可能な限りその村に行って、

どういう人達が作っているのかっていうのを知って買うようにしているのです。

 

そこはもう値段じゃないような気がします。

 

確かに「お土産」として3万円は「高い」と感じますが、

彼らの生活の現実や、

昔から続く彼らの伝統と習慣、

そしてその習慣が「消える」可能性、

そういうのを考えると3万円て本当に高いです?

 

それで彼らの伝統が守られるのであれば、

僕は喜んで払います。

 

そして、

その3万円で得た産品は、

僕の生活に役立つ・役立たないでいったら、

間違いなく「役立たない」ですが、(苦笑)

僕にとっての「一生の思い出」になりますから。

 

たぶん、

今回のクレイジーな旅で一番いい思い出の一つになったことは間違いありません。

そしてそれを忘れる事はないでしょう。

 

僕は他の国の事はよく知りませんが、

メキシコに関しては、

民芸品を買う時は、

その作り手の背景を知ってみることを強ぉ~くおススメします。

ただ「かわいい~~~」で買うんじゃなくて。

 

 

背景を知ると、

皆さんにとってその民芸品の価値がウン百倍にもなりますから。

 

それがメキシコの多様性であり、

メキシコが誇る「価値」の一つなんです。

 

メキシコ発【キオテ通信】バックナンバ

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