みんなが知らないカカオの話。
メキシコ在住18年目、
「メキシコの素顔を世界に!」 をモットーに、 メキシコ旅行の政府公認ツアーガイド兼ドライバーをしています岩﨑コウです。 今日もメキシコから書いています~カカオの話。

👆木になるカカオの実 木の幹や枝に直接なるのが特徴です。
カカオの生まれ故郷メキシコ
言わずと知れた、 スイーツの王様チョコレートの原料ですね。 この語源も現代メキシコの言語の一つ、 ナワトル語なんですよ~ぉ。 Cacaocuáhuitl (カカオクァウィトゥル)から来ています。(驚) 今日メキシコがあるメソアメリカでは貴族の飲み物として、 そして価値を計るモノ、 つまり“おカネ”として使われていたんです。 今でこそコートジボワールを筆頭に、 ガーナ、インドネシア、カメルーン などの世界各国で生産があるカカオ。 この根っこはメキシコにあるんです! という事は前に少しだけ書いた記憶があります。(笑)「原産地」という議論
そこで少しややこしいのが、 どこどこが“原産”という議論です。 元の元の元をず~~~っとたどって、 “野生”で生えていた頃から見る場合と、 人間による“栽培”が始まり、 食用や道具として実用的に使われ始めた時から見る場合と 二通りあるんです。 例えば赤トマトもそうですが、 カカオも、 野生で生えていた所まで遡ると、 その原点は“南米”らしい!? はい、「らしい」の域はでません。 一方でそれが何でメキシコの作物として見られるかというと、 世界で初めて人間により栽培され人間社会で実用化されたからなんです。 一方で、 それらがどのようにして、 今日メキシコがあるメソアメリカの地に伝わったのかは、 解明に至っていません。 考えられる説として、 コウモリやサルなどの動物によって、 その種が運ばれて、 メソアメリカの地にも植生が始まった、 というものがあります。カカオのご先祖様
そしてココで大事なのが、 今日我々が食する “いわゆるカカオ” になったのはメソアメリカ(メキシコ) ということです。 どういうことかと言うと、 南米でも“カカオ”のご先祖様は人々の生活の中に存在していた?ようです。(推測) でもちょっとカタチが違うんですね。 何が違うのかと言いうと、 南米ではカカオの実の果肉をアルコール発酵させて飲み物を造っていて、 その種(タネ)は捨ててしまっていたのです。
「種」は保存性・流通性に優れる
最初は南米のように実の果肉を使っていた可能性はありますが、 そのような用途による“需要”が増してくると、 今度は量の確保や、 保管、輸送という点が重要になってきますね。 カカオは実のままだと保存が利きません。 熟れるとすぐに傷んでしまいます。 という事は遠くに輸送もできません。 「じゃあ苗を持っていって別の場所に植えればいいじゃないか」 となるのですが、 カカオの木は18度を下回る地域では生育しないのです。 つまり、 どこでもやたらめったら育つものではない。 そこで種(タネ)の出番です。 一つの実に約40個できるんですが、 これを発酵、乾燥させることにより、 使い勝手が格段に増したのです。

カカオは進化します
更には、 南米で野生に生えていたものは、 より多くの実をつけるのですが、 とにかく苦かったらしいんです。 メソアメリカの人達は、 幾つかあったであろう品種の中から、 苦味が少ないものを選んでいき、 その結果が、 今日我々が享受している“苦すぎない”、 いわゆるカカオなのです。 このような改良が重ねられ、 人々の生活に欠かせない作物となっていきました。 だからカカオはメキシコが原産と言われているのです。 この人間による使用が、 人類史上最初に始まった考古学的証拠は、 ベラクルスとタバスコの州境付近にある、 メソアメリカ最初の文化オルメカが、 紀元前1500年頃に興ったサン・ロレンソで見つかっています。 そして現にこの一帯というのは、 現在もメキシコで最もカカオの生産がある地域で、 年間約3万トンの生産があります。 この地域のほぼ真南の太平洋側のチアパス州ソコヌスコも、 メソアメリカ時代の一大生産地で、 現在も年間約1万トン強の生産があります。 ソコヌスコの西のパソ・デ・ラ・アマダにも、 サン・ロレンソと同時期のものと思われるカカオの遺物が見つかっています。 その他は、 ベラクルスやオアハカ、ゲレロ州でも 20~60トン程の生産があります。

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