メキシコ料理といえば「タコス」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は現地の人々がこよなく愛する、もう一つの「国民食」をご存知でしょうか?

それが、今回ご紹介する「ポソレ(Pozole)」です。

ポソレは、大粒の白トウモロコシとお肉をじっくり煮込んだ、いわばメキシコ版の“豚汁”や“お雑煮”のような心温まるソウルフード。一口食べれば、その奥深い旨味とスパイスの香りが口いっぱいに広がり、日本からの長時間のフライトや観光の疲れをホッと癒してくれます。

しかし、ポソレの魅力は単なる「美味しいスープ」にとどまりません。その起源ははるか昔、メシカ(アステカ)時代にまで遡り、メキシコの壮大な歴史と文化がどんぶりの中にギュッと詰まった特別な一杯なのです。

この記事では、日々メキシコの街をご案内している現地ガイドの視点から、絶品スープ「ポソレ」の知られざる歴史的背景や、地元民がやっている「最高に美味しい食べ方」をご紹介します。次回のメキシコ旅行の「絶対に食べたいものリスト」に、ぜひ加えてみてください。

ポソレ
ゲレロのポソレ

そもそもポソレとは

先日トウモロコシの記事で、

ポソというトウモロコシとカカオの飲み物を紹介したと思います。

マヤの伝統飲料ポソル
ポソル

 

これはポソです。

飲み物ではなく料理ですね。

 

僕の感覚ですが、

メキシコ料理の中での位置づけでは、

日本でいう牛丼のようなものだと思っています。

 

料理自体はスープ系で、

まったく別のものですが、

では何が「牛丼のよう」なのかというと、

のチェーン店があるからです。(笑)

 

ちょっと大げさかもしれませんが、

まだまだメキシコには日本の牛丼チェーンのように、

どこに行ってもそういうお店があるというわけではありませんが、

少なくても首都メキシコシティでは、

その店舗数は多くなっていて、

中には24時間営業の店舗もあります。

 

これ、

僕の大好物のメキシコ料理のひとつなんです。

前置きが長くなりましたが、(苦笑)

それで何の料理かと言うとですね、

トウモロコシのスープです。

ポソレ
赤ポソレ

トウモロコシといっても、

日本で一般的なスイートコーンじゃないんです。

 

現在メキシコに存在する

40種類以上と言われる種類のトウモロコシの中でも、

一般的にカカワシントゥレという品種を使います。

白く粒が大きいのが特徴。

ポソレの素顔

このポソレって

Pozole と書くんですが、

これはナワトル語のPozolli

が語源です。

 

意味は「煮る」です。

 

それで何を「煮る」のかと言うのが今日のポイントなんです。

 

現代のポソレの具材は、

トウモロコシを筆頭に、

豚か鶏肉、

レタスやカブ、

アボカド、

チチャロン(豚皮を揚げたもの)

などです。

 

このポソレと言う料理、

メソアメリカ時代には

tlacatlaolli

(知らなくてもいいです 笑)

と呼ばれていまして、

その意味はというと、

人間から削がれたトウモロコシ

という意味なんです。

 

「!???」

 

これまでにも、

トウモロコシはメソアメリカ時代から、

生命を育む神聖な作物としてされてきた、

と書いてきました。

 

つまり、

トウモロコシ無くして生命の誕生は無いという考え方が根幹にあるんですね。

それ故、

生命(人間)・作物(ともろこし)・神

を「繋げた」んです。

 

儀式によって、

その年のトウモロコシの豊作を神様に祈ったのです。

でも、

ただでは「豊作」はもたらされません。

メソアメリカの世界観は、

「死は生を生む」

です。

 

「生」とは、

人の命であったり、

トウモロコシをはじめとする作物の生育を意味します。

人や作物に「生」を与える「水」もまた「生」です。

 

それらの生が生まれるように、

神聖な死を神に捧げる

「生贄の儀式」

が行われていたんです。

豊作祈願の儀式

メシカ(アステカ)帝国の首都テノチティトランでは、

トウモロコシの豊作を祈願する儀式が、

毎年春分の日の前後に行われていました。

その行事をTlacaxipehualiztliと言うのですが、

(これも知らなくてもいいです 笑)

ポソレは主にそこで作られていた「神聖な料理」だったんです。

 

先日少しご紹介しました「太陽の石」

生贄の石テマラカトゥルというのですが、

この石の上で戦争の捕虜や奴隷が縛られ、

メシカ(アステカ)の戦士と決闘します。

グラディエイターです。

当然捕虜は殺される運命にあるのですが、

殺された後は皮を剥ぎ取られます。(驚!?)

 

これには理由があるのですが、

「剥ぎ取る・剥く」

という行為には、

トウモロコシを覆う皮を剥ぎ取る

という行為と重ね合わせているんです。

とうもろこし

 その後、

その生贄の肉をトウモロコシと一緒に「煮る」のです。

不思議な事に「焼いた」という記録はありません。

こうしてできたものが、

トゥラカトゥラオリ(Tlacatlaolli)、

現代のポソレの原型です。

 

今でこそ誰でも食べられ、

超一般的なメキシコグルメですが、

当時は非常に神聖なもので、

メシカ(アステカ)帝国の貴族しか食べる事が

“できななかった”

のです。

元祖ポソレの中身とは・・・

今のように

「庶民的で人気の食べ物」

ではなかったんですね~。

 

特に腿と腕の肉が食べられたそうですが、

右腿は皇帝(トラトアニ)に捧げられました。

 

この生贄の「人体を食べる」

という行為にも意味があります。

神との同化です。

神聖な生贄の「肉」を自らの体内に取り込む、

つまり「同化」という意味合いがあります。

 

たんぱく源は、

野生の動物や、

昆虫類も食べていたので、

「人肉」

を食べなくてもタンパク源には困らなかったわけです。

人肉を食べていた理由は、

タンパク源の確保ではなく、

こういう👆理由なんですね~。

侵略者がギョッとしたオモテナシ

その後スペイン人が入って来て、

この光景を目にしてギョッとするわけです。

あるスペイン人将校がハリスコ地方に遠征した際、

とある村の重鎮から

「オモテナシ」

を受けたそうです。

食事に招かれて行くと、

そこでまさに、

「元祖ポソレ」

を調理していたそうです。

 

このように驚愕したスペイン人達は、

以降、

「人肉の使用を禁止」

するのです。

 

そこで代替されたのがです。

今でこそメキシコは豚肉の生産が多い国で、

日本の豚肉輸入量で4番目ですが、

それまでは豚肉はメソアメリカの地にはありませんでした

味、食感が、

人肉に似ているからだとか・・・(苦笑)

 

そんな歴史があるポソレですが、

今ではメキシコの大衆食です。

もちろん「人肉」は入っていません!!

 

そんな背景があるってことだけ知って食べて頂ければ、

メソアメリカの世界観も

感じることができると思います!?(笑)

 

各地域でもそれぞれスペシャリティがありますので、

訪れた先々でイロイロ試してみるものイイですね。

ポソレ
白ポソレ

サッパリ目のゲレロポソレがうまい。

それではまた。

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