Aさん:自分で調べるのとは違うテンポで視野が広がりました。プロのガイドさまさまです!

ご旅行の内容
ご旅行期間
9日間
移動距離
合計約600㎞+メキシコシティ⇆オアハカ飛行機
内容とルート
前から気になられていたメキシコに、今回ついに初挑戦。
治安や言語、正確な観光情報の少なさから、これまでに行かれた他の多くの海外旅行先と比べるとハードルが高く感じられたそうですが、最後は「次はもっとあそこに行きたい」「また来たい」と思っていただけるほど、心動かされる体験が詰まった旅となりました。2度目、3度目の訪問が自然と視野に入る、そんな豊かなメキシコ旅行を楽しまれたご様子でした!
ルート:
メキシコシティ空港⇒メキシコシティ内(バラガン建築、ルチャリブレ、博物館と美術館、コジョアカン、歴史地区など)⇒オアハカン⇒タスコ⇒プエブラ⇒メキシコシティ
ご感想
どこかで目にしたルイス・バラガンの建築写真。その独特の色づかいがメキシコの風土に根ざしていると知ってから、いつか訪れてみたいと思っていました。2025年7月、バラガンの建築が見られるメキシコシティに加え、手仕事の文化が根強く残っていると聞いたオアハカも旅程に組み込み、9泊11日で滞在しました。
まず驚いたのは、空気が乾いていてとても快適だった点です。メキシコといえば、太陽が照りつける暑い国、というイメージを持っていたのですが、まったくちがいました。夜になると半袖では肌寒いと感じることもあるくらいです。出発時の東京の最高気温は35℃、湿度は70%に迫る勢い。気候だけでも「来てよかった」と思えます。
きっかけであり、最大の目的でもあったバラガンの建築は、もちろん大満足。いい意味で写真とはイメージが違い、現地に足を運んだかいがありました。
次に印象に残ったのが、2日目の朝に案内してもらった国立人類学博物館です。メキシコの古代⋯⋯文明⋯⋯? 状態で訪れましたが、日本語で解説してもらえたことでざっくりとした歴史の流れをつかめました(学校で習った記憶がない)。
これは後のメキシコシティの街歩きやオアハカ観光でも役立ったので、旅の前半に入れることをおすすめしたいです。相当な数の展示物があるので、一度見て終わりではなく、展示に登場した遺跡を実際に訪れたり、知識を深めたりしてから再訪するのもおもしろそう。また逆に、博物館で興味を持った遺跡に旅の途中で足を伸ばしてみるのも、いい流れだと思いました。実際、そのあとに訪れたオアハカでは、サポテカ文明の古代都市遺跡モンテ・アルバンに足を運びました。よいインプットは、次の行き先を広げてくれます。
もうひとつ行ってよかったのが、アレナ・メヒコでのルチャ・リブレ観戦です。とくに格闘技やプロレスに興味があるわけではないのですが、本当におもしろかった。なにがおもしろいって、観客の熱量です。大人がそんなに熱心に応援することある? ってくらいに、熱のこもった野次が飛び交い、のめり込んでいる様子が伝わってきます。スペイン語がわからずとも、ローカルの雰囲気を味わえる時間でした。来週も行きたくなるエンタメです。
民芸品を目当てに訪れたオアハカでは、歩いているだけで刺繍や陶器、織物など手仕事が目に入ってきました。普段は旅行に行っても買い物をしないのですが、結構な量の民芸品を買い込んでしまいました。バラガン建築を見たときと同じように、やはりメキシコの色づかいには抗えないものがあるのです。
全体として印象的だったのが、町ごとに雰囲気が大きく変わる点です。ビルが並ぶ大都会でありながら、街路樹や公園が多く緑豊かなメキシコシティ。街並みが碁盤の目になっていて歩きやすく、カラフルな建物が並ぶオアハカ。山の斜面に白い家が連なり、合間を白いビートルが走るタスコ。床や壁に青いタラベラ焼きが施されたプエブラ。いずれも歩いているだけで楽しく、ほかの町にも行ってみたくなりました。
今回は自分が見たいものを優先する旅程にしましたが、博物館で理解が深まった遺跡にも足を伸ばしたいし、食べきれなかったグルメも堪能したいし、野生のサボテンも見てみたいし、オアハカ郊外の村にも行ってみたい。2回目、3回目の訪問が楽しみになる滞在でした。
最後に、アテンドしてもらえたことで、自分の興味・関心だけでは出てこなかった選択肢が生まれたのも、今回の滞在が充実した理由のひとつです。自分で調べるのとは違うテンポで視野が広がっていくこと、時間を預けて強制的にインプットしてもらうことのありがたさ。プロのガイドさまさまです。感謝!
メキシコガイドの岩﨑功からのお礼
Aさん
このたびは、心のこもったご感想をお寄せいただき、誠にありがとうございました。拝読しながら、旅の一場面一場面が目に浮かぶようで、私自身も嬉しい気持ちになりました。
ルイス・バラガンの建築をきっかけにメキシコに関心をお持ちになり、実際にその色彩の美しさと空間の空気感を「現地で体感した」とのお言葉、とても印象的でした。バラガン建築は、写真で見るだけでは伝わりきらない“場の静けさ”や“自然光との調和”があります。メキシコという土地の色、乾いた風、明るい陽の光があってこそ生きる建築です。
また、気候についてのご感想にも共感しました。メキシコというと「灼熱」「乾燥している」といったイメージが先行しがちですが、実際には地域によって大きく異なりますし、特にメキシコシティを含む内陸部は標高が高く、朝晩は冷え込むこともあります。東京の蒸し暑さから一転して、からっとした涼しさを感じていただけたことは、「夏旅」の快適さにも直結したのではないでしょうか。
そして、国立人類学博物館でのご体験が、その後の旅をより深く、より豊かにしてくれたというお話も印象的でした。「メキシコの古代文明について知らなかったけど、日本語での解説で全体像がつかめた」というご感想、ガイドとしてご一緒する意義を感じます。事前知識があると、その土地に立ったときの風景の見え方が変わり、遺跡や街並みの背後にある物語に気づけるようになります。旅の前半にこうした“学びの時間”を敢えて入れることで、後半の観光がさらに充実する──私自身も改めて学ばせていただきました。
アレナ・メヒコでのルチャ・リブレ観戦も、楽しんでいただけてなによりです。格闘技に興味がない方でも夢中になれる、あの“熱気”と“笑いと驚きの入り混じった独特な空気”は、まさにメキシコらしさの詰まったエンターテインメント。観客のリアクションや、ヤジの飛ばし方など、言葉がわからなくても“熱”は伝わってきますよね。まさに「地元の人の娯楽に触れる」ことができる、かけがえのない時間の一つだと思います。
オアハカでの民芸品との出会いも、素晴らしいですね。あの町は、歩いているだけで自然と手仕事の美しさに目を奪われる場所。刺繍、陶器、織物、木彫……どれも作り手の想いがこもった一点物ばかりで、買わずにいられない魅力があります。バラガン建築を通して感じた“メキシコの色”が、ここでも強く惹きつけていたのだと思います。旅先で思わず買ってしまう──それもまた、メキシコの文化的豊かさに心が動いた証ですね。
町ごとの表情の違いについても触れていただきました。メキシコは一つの国でありながら、地域ごとに気候も文化も風景も全く異なります。メキシコシティの近代性と自然の融合、オアハカの落ち着いたカラフルさ、タスコの山あいの銀の町、プエブラの青いタラベラ……それぞれの町が、個性を持って語りかけてきます。「歩いているだけで楽しい」という言葉に、私が伝えたいメキシコの魅力が詰まっているように感じました。
旅の終わりに「次はあそこに行きたい!」「また来たい!」と思えるのは、充実した時間を過ごした何よりの証拠です。今回はご自身の関心を大切にした旅だったとのこと、次はその興味が広がった先をめぐる旅となりそうですね。オアハカ郊外の村での手仕事体験や現地の人達との触れ合い、チアパスのマヤ文化に触れる体験、季節の行事とのタイミングを合わせる旅など、きっと次回も新しい発見にわくわくしていただけることでしょう。
最後に、「自分では選ばなかったものに出会えた」「強制的なインプットがありがたかった」とおっしゃっていただけたこと、本当に光栄です。情報があふれる時代だからこそ、現地でリアルに体験し、現地に住む人の視点で選び抜かれたメキシコ体験をすることに大きな価値があると、私自身は感じています。
またメキシコにてお会いできる日を、心より楽しみにしております。
この度はメキシコを旅先に選んでいただいたことをメキシコ政府公認ガイドとしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました!
岩﨑 功
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