「辛いのは苦手で・・・」で敬遠されてしまうのは勿体ない、メキシコのチレ(唐辛子)の話。

メキシコ在住16年目、

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公認日本語ツアーガイド兼ドライバーの岩﨑コウです。

 

「辛いのは苦手で・・・」で敬遠されてしまうのは勿体ない、メキシコのチレ(唐辛子)の話。

唐辛子はスペイン語でChileと言います。

 

そういえば南米の太平洋側の南北に細長い国もChileですね。

ちなみにチリは英語発音です。

Chileとはナワトル語のChilliが語源です。

 

チリ、唐辛子と聞いただけで敬遠する人も多いと思いますが、

ちょっと落ち着いてください。(笑)

 

メキシコ料理と言えば、

辛い料理のイメージが真っ先に思い浮かぶと思いますが、

それにはワケがあります。

 

現代のメキシコの食卓に欠かさず登場するチレ。

その原点は、

考古学的証拠があるもので紀元前6900~5000年と推定される“種”が、

オアハカに行く途中の、

プエブラ州テワカンくの洞窟から発見されています。

☝☝☝最古のチレの種が見つかったプエブラ州テワカンの洞窟

 

また、

メソアメリカで土器が発明され、

食糧の保存が可能になり、

定住が始まるのは、

少なくても紀元前2400年で、

それまでは狩猟採集型のノマド(非定住)。

移動しながらの生活をしていたのです。

 

冷蔵庫も無い時代、

チレはもちがよく、

その使い勝手の良さからも重宝されていたのですね。

 

そんな気が遠くなるような大昔から、

人々の常食として扱われてきたチレ。

本場メキシコには約50種ものチレがあり、

内約20種が料理に良く使われる品種です。

 

中でも有名で使用量も多いのは、

ハラペーニョ(Jalapeñ o)。

土地によってハロチョ(Jarocho)とかゴルド(Gordo)とか、

色んな名前がついています。

☝☝☝左側の長細いのがハラペーニョ
緑のトマトはトマテ(Tomate)と言います。
赤はヒトマテ(Jitomate)。
この時は緑サルサ(Salsa verde)を作っています。

 

ハラペーニョは、

生のものをクアレスメニョ(Cuaresmeñ o)っていい、

乾燥・燻製にしたものをチポトゥレ(Chipotle)と言って、

状態によって呼称がかわる品種もありますね。

 

チポトゥレもスープとかチーズにも使ったりしてあまり辛くなくて、

味も親しみやすく僕が一番好きなチレなのです。

☝☝☝市場のチリ売り場の様子。
右端がチポトゥレ(Chipotle)

 

ちなみにChipotleの語源はナワトル語でChilpoctli

燻製唐辛子という意味なんです。

 

あと日本でも知られているのは、

ハバネロ。

(スペイン語ではHを発音しないのでアバネロ=Habanero)

これはメキシコ原産ではなく、

南米アマゾンが原産で、カリブ、キューバを経由してユカタン地方に入ったといわれています。

そのためユカタンが今でも一大生産地です。

☝☝☝アバネロ(ハバネロ)

 

あとメキシコの台所でよく使われるのは、

チレ・ポブラノ。

乾燥させたものをチレ・アンチョといって、

モレ(Mole)や

チレ・エン・ノガダ(Chile en nogada)など、

代表的な料理にもよく使われます。

あまり辛くないのが特徴です。

☝☝☝チレ・ポブラノを乾燥させたチレ・アンチョ
これはモレと作った時に使ったもの

 

ハバネロに次いで辛いのが

チピリン(Chipilin)またはPiquin(ピキン)。

栽培ができなく野生のものしかありません。

☝☝☝チレ・ピキン
ベラクルスのレストランで。
栽培はされていないので野生のものを採ります。

 

ところでこのチレ(唐辛子)、

実は9割以上のメキシコ料理に何らかの形で使われているのです。

そのままったり、調味料の原料だったり。

 

このチレはドーパミンの分泌にも一役買っているそうです。

ドーパミンって、

幸福や快感、やる気に関連する機能を担う脳内ホルモンですね。

このドーパミンが欠乏するとパーキンソン病などの認知症を引き起こすとも言われています。

 

チレを毎日欠かさず食べているメキシコの人達は、

“大変”な状況でも

「なんとかなるでしょ」

とポジティブに考え、

かつ認知症が少ない。

 

言われてみれば確かにそうで、

これはチレ効果なのか!?(笑)

 

少なくても僕の知り合いの周辺には認知症の人は一人もいない。

もちろん社会問題にもなっていない。

クビ切られたぐらいでいちいちしょげない。

 

きっとチレ効果と裏付けになるでしょう。(笑)

 

そんな日本では嫌われ者のチレ。

 

本場メキシコでは年間約50万トンの生チレと、

6万トンの乾燥チレを輸出していますが、

実は生産量は中国、スペイン、トルコ、ナイジェリア、インドに続く世界6番目。

噂では中国から安価なチレを輸入しているとか、、、

 

最も消費が多いハラペーニョの6割は、

エスカベチェなどの酢で漬けた工業製品、

2割が生、

残りがチポトゥレ(ハラペーニョの乾燥したもの)。

☝☝☝酒の肴にもなる野菜とハラペーニョの酢漬けエスカベチェ(Escabeche)
サッパリしていておいしんです。

 

あと、ドリンクにも。

例えば、

ハラペーニョ酒やスパイシーテキーラ。

レストランなどで本メニューで出しているところは見た事ないですが、、、

自宅で簡単にできるチレ ドリンクです。

僕はサラリーマン時代に、

日本酒WITHハラペーニョ(ハラペーニョ酒)をゴリゴリ売り込んでいました。(笑)

チレ好きなメキシコのお客さんには結構ウケていましたよ。(喜)

☝☝☝アルコール飲料につけるだけ。

就ける時間はお好みで調整。

 

そんなメキシコと切っても切れないチレ。

ただ“辛い!”で敬遠するのはもったいない、

メキシコ料理の原点でもある食材なのです。

 

メキシコににいらしたら是非、

“怖がらず”

汗だくになりながら、

しっかり8000年の時の味を噛みしめてみて下さい~(笑)

 

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