「マヤ遺跡」と聞いて思い浮かぶのは、チチェン・イッツァやパレンケではないでしょうか。
しかし、本当にマヤ文明の奥深さを感じたいなら、ぜひ知ってほしい遺跡があります。
それが、メキシコ南部・グアテマラ国境近くのジャングルに眠るヤシュチラン遺跡です。
ボートで川を渡ってしか行けないこの遺跡は、日本ではまだほとんど知られていません。
しかし、その「行きにくさ」こそが、今なお本物のマヤの雰囲気を色濃く残している理由でもあります。
今回は、ヤシュチランという名前の由来や、マヤ文明を理解するうえで欠かせない「蛇信仰」についてご紹介します。

出典Arqueologia mexicana
マヤと言っても、実はいろいろある
ヤシュチラン遺跡。
パレンケやテオティワカンと比べると、少し読みづらい名前ですよね。(笑)
ガイドブックでは少し紹介される程度で、日本ではほとんど知られていないマヤ遺跡と言っていいでしょう。
このブログでも何度もマヤ文明について書いてきましたが、それでも「マヤって結局どういう文明なの?」と思っている方は少なくありません。
マヤと聞けば、
- マヤ暦
- マヤ文字
- マヤ数字
- ピラミッド
などが思い浮かびます。
ところが、実際に有名なマヤ遺跡へ行ってみると、
「あれ?思っていたものが見当たらない。」
そんな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
文字や数字を見ても意味が分からず、
「うーん、、、」
で終わってしまう。
壁画に描かれた文字を見ても、それが何を意味するのか分からない。
古典期の大都市の壁画に「UI」とあって、ガイドさんから「アトレっていいますよー」と言われても、なんのことか想像つきません。
初めてマヤ遺跡を訪れる旅行者にとって、「マヤ文明の本当の面白さ」を体感することは、実は結構大変なんです。(苦笑)
だからこそ、遺跡は「見る」だけでなく、「背景を知って歩く」ことで面白さが何倍にも広がる、としつこーく書いております。(汗笑)
SNS映えだけでは、もったいなすぎる
その「何なのか」が少しでも分かってくると、遺跡はまったく違う景色に変わります。
逆に言えば、それを知らないままだと、
多くの人が前の人と同じ場所で写真を撮り、
SNSに投稿して満足して終わる。
それだけになってしまうことも少なくありません。
せっかくジャングルの奥深くまで足を運んだのに、
「ヤシュチランとパレンケの違い」
「なぜこの都市がここに築かれたのか」
それが分からなければ、
チチェン・イッツァも、
ウシュマルも、
カラクムルも、
そしてこのヤシュチランも、
全部同じような遺跡に見えてしまいます。
それは本当にもったいないことだと思うんです。
だからこのブログでは、現地で見る景色が少しでも面白くなるように、遺跡の背景や歴史もできるだけ分かりやすく紹介しています。
実際に現地を訪れたとき、「知っていて良かった」と思える知識が、一つでも増えれば嬉しいです。
ヤシュチランの本当の名前
現在は「Yaxchilán(ヤシュチラン)」という名前で知られていますが、
実はこの都市は昔からこの名前だったわけではありません。
これまで、
- Menche
- Bol Menche
- Menhe Tinamit
など、さまざまな名称で呼ばれてきました。
そして最終的に、近くを流れる小川「Yaxchilán」の名前が遺跡名として定着しました。
しかし近年では、
Pa' Chan(パチャン/パシャン)
これこそが当時の正式名称だったのではないか、という説が有力になっています。
考古学の研究が進むにつれ、古代マヤの姿は今も少しずつ明らかになっているのです。
ヤシュチランという名前の意味
現在使われている「Yaxchilán」という名前は、
「蛇の偉大な家」
という意味があります。
実は僕自身、蛇は大の苦手です。(苦笑)
見るのもあまり得意ではありません。
でも、メソアメリカ文明において蛇は特別な存在でした。
その信仰は、紀元前1800年頃に栄えたオルメカ文明までさかのぼります。
オルメカは、ベラクルス州サン・ロレンソを中心に栄えた、メソアメリカ最初の文明です。

その後、
トルテカ文化のトゥーラでケツァルコアトルとなり、
チチェン・イッツァではククルカンとして受け継がれていきます。
つまり、「蛇」は数千年にわたって受け継がれた、メソアメリカ世界を象徴する存在だったのです。
この背景を知っているだけで、ヤシュチランだけでなく、他の遺跡を見る楽しみも大きく変わってきます。
蛇信仰は数千年続いてきた
その証拠に、メソアメリカ各地には時代ごとに蛇のレリーフが数多く残されています。






時代も民族も違いますが、「蛇」という存在は共通して重要な意味を持ち続けていました。
一つひとつを見比べていくと、文明同士のつながりが少しずつ見えてきます。
それこそが、メキシコ考古学の面白さでもあります。
後編では、ジャングルの奥へ
ヤシュチランの魅力は、遺跡だけではありません。
川を船で渡り、ラカンドンのジャングルへ入り、野生動物の気配を感じながら遺跡へ向かう時間そのものが、この旅の大きな魅力です。
後編では、その神秘的な景色や現地の様子をご紹介します。
ぜひ続き↓もご覧ください。
メキシコ政府公認ガイドと、本物のマヤを歩く
ヤシュチランは、アクセスが難しいからこそ、今も観光地化されすぎていない特別なマヤ遺跡です。
「有名だから行く」のではなく、「なぜこの場所が重要なのか」を知りながら歩くことで、旅の印象は大きく変わります。
メキシコ在住20年・政府公認日本語ガイドとして、ガイドブックだけでは伝わらない歴史や文化の背景も交えながらご案内しています。
本物のマヤ文明を体感したい方は、ぜひメキシコ周遊ツアーやユカタン半島&マヤ周遊ツアーもご検討ください。
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