前編では、2026年ワールドカップで印象に残った試合や日本代表について書きました。

でも、この大会を通じて考えたことは、それだけではありません。

数日経って熱狂が冷めたとき、「たかがサッカー」と思っている自分がいました。

もちろん、サッカーを軽視しているわけではありません。

むしろ、これだけ世界中の人々を熱狂させるスポーツだからこそ、その影響力を試合の勝ち負けだけで終わらせるのは少しもったいない気がしたのです。

今回は、そんなワールドカップの「その先」について、僕が感じたことを書いてみたいと思います。

Selfie of a man in sunglasses in a blue jersey with a large, colorful festival stage and FIFA World Cup 2026 branding in the background.
メキシコシティのソカロでFanFest

前編はこちら↓

【2026年FIFAメキシコワールドカップ】について思うコト(前編)

2026年ワールドカップも、いよいよベスト8が出揃いました。 メキシコに住んでいることもあり、現地の熱狂を肌で感じながら試合を観戦してきましたが、今回はいつも以上に…

数時間後には「たかがサッカー」と思っている自分がいた

大会期間中は、ネットも街もワールドカップ一色になります。

でも、不思議なことに日本戦が終わり、一週間もすると熱はすっかり冷めた?ような感じ。(苦笑)

あれほど熱狂していた試合も、後になれば「まぁ、たかがサッカーだよな」と思っている自分がいました。

もちろん、これはサッカーを軽視しているわけではありません。

選手たちは、あの強烈なプレッシャーの中で体力も精神力もすべて出し切っています。

でもですね、僕の中では最後の最後は「たかがサッカーにすぎない」と思ってしまうんです。(沈)

サッカーを純粋に楽しめない時代なのかもしれない

近年のワールドカップや各国リーグを見ていると、どうしても競技以外のことが目に入ります。

政治。

経済。

スポンサー。

放映権。

高額なチケット。

FIFAのライセンス。

そして、さまざまな国際情勢。

もちろん、これだけ巨大なイベントなのですから当然なのでしょう。

でも、子どもの頃に感じていた「ただサッカーが好き」という純粋な気持ちとは、少し違う世界になった気もします。

なんというか、一部の選手が神聖化されすぎているような。

もちろん昔もありましたよ。ペレとかマラドーナとか、サッカーを始めたころの岩﨑少年にはみな「神」でした。(笑)

日本では、今でもカズは僕の中でヒーローですよ。

当時のカズが、世界でどのレベルだったのかは僕にはわかりません。

でも、あの華麗なドリブルは純粋に「すげぇー」と思い、必死に練習していたのでした。

今みたいにネットがなかったので、創られるイメージにも限界があったせいか、よりその選手のプレーや、試合中の一挙手一投足に純粋に夢中になっていた気がします。

サッカーを極めたその先にあるものとは・・・

地位。

名声。

おカネ。

豊かな暮らし。

もちろん、それは血がにじむような努力の結果です。

でも、その努力ができる身体に生まれ、その環境に恵まれたこと自体も、一つの「運」だと僕は思っています。

その運で得たものを持つことは悪いことではありません。

でも、その幸運を持たなかった人たちにも、ほんの少し分けられないものなのかな、とも思ったり。

そんなことを考えてしまい、サッカーにしても野球にしても、束の間の熱狂やスーパースターにも冷めてしまうんですよね。(沈笑)

それとも、これって僕のただの嫉妬?(苦笑)

世界が熱狂する一方で…

中南米移民
チアパスの山中を歩くホンジュラスから来た子連れの一家

今回、一番考えさせられたのはここでした。

サッカーとは、極端に言えばボールを蹴り合う「ゲーム」です。

そのゲームに世界中の何十億人もの人が熱狂する。

一方で、世界には今日食べるものに困る子どもがいます。

教育を受けられない子どももいます。

今この瞬間も理不尽な戦火の中で暮らしている人々がいます。

メキシコの行方不明者を探す人たち
行方不明の我が子を探す母親や遺族の抗議出典CNN Mexico

僕の住むメキシコでも、何万人という行方不明者が十分な支援を受けられないままです。

チアパスやオアハカ、タラウマラの山奥では十分な教育が行き届かず、街には赤ちゃんを抱いた物乞いの姿もあります。

実際に僕自身、オアハカからチアパスへ向か途中、中南米から来た幼い子どもを連れて歩いてきた家族と何度も出会ったこともあります。

当時自分の子と同じ1歳ぐらいと思われる乳児を抱っこして歩く人もいました。

根貴志子の中南米移民
オアハカの幹線道路を歩く子連れの一家出典EL UNIVERSAL

昨年は社会情勢の悪化によって野生動物保護施設を失った方々への草の根支援を行いました。

メキシコでの草の根支援
メキシコの社会情勢の悪化により野生動物保護施設を失った方たちへ行った草の根支援

だからこそ、目の前にある現実とのギャップがあまりにも大きく、「たかがサッカー」と思ってしまう自分がいるのです。

もちろん、サッカーやサッカー選手が悪いわけではありません。

むしろ、人々を笑顔にし、希望を与える力があります。

だからこそ、その影響力をもう少し別の方向にも活かせないものかと思ってしまいます。

これはサッカー界だけではなく、プロスポーツ全体に言えることかもしれません。

トップ選手は何十億、何百億円というお金を稼ぐ一方で、衣食住すらままならない生活を送る人たちが、僕が仕事で訪れるメキシコの地方にはたくさんいます。

だから、ふと考えてしまうのです。

ゴールを決めたら、こういう人たちが少し助かるのだろうか。

ホームランを打ったら、こういう地域で暮らす赤ちゃんに、おむつやご飯が届くのだろうか。

答えは、少なくとも現状では「いいえ」です。

スポーツの結果で、彼らの現実は

何ひとつ変わりません!!

ちょっと、不公平すぎません?この世の中。

だから僕は、現代のスポーツビジネスに対して、どこか一定以上は熱狂しきれない自分がいるのです。

スポーツが持つ影響力は、本来もっと大きな可能性を秘めている。

だからこそ、その力を勝敗や興行だけで終わらせてしまうのは、少しもったいない気がしてならないのです。

サッカーを通じて、地球に何ができるのか

そんなサッカーですが、僕はこれからのワールドカップは、次の段階へ進む時期に来ているのではないかと思っています。

「誰が優勝するのか。」

もちろん、それは最大の見どころです。

ショーとして、それは絶対に必要です。

でも、それだけでは少しもったいない。

サッカーを通じて、世界に何を残せるのか。

そんなことを考える大会になったら素敵だと思います。

環境問題。

教育。

平和。

貧困。

こういうテーマは、どこかフワフワしていて、自分には関係ないように感じてしまいます。

だからこそ、いきなり

「募金しましょう。」

「学校を建てましょう。」

「ワクチンを送りましょう。」

という話ではなく、その前の段階が大切なのではないでしょうか。

「今日の世界には、こんな現実がある。」

「こんなことで困っている人たちがいる。」

そんなことを知るきっかけを、世界が交わるワールドカップがつくってくれるだけでも十分意味があると思うのです。

ワールドカップには、世界中の何十億人もの視線が集まります。

現地まで足を運べる人。

そういう時間やお金を使える人たちは、それだけでも十分に恵まれた側の人間だと思います。

だからこそ、その「幸運」のほんの一部をですね、ワールドカップを楽しむ余裕すら持てない人たちへ思いを向けるきっかけにできたらいい。

何かを強制する必要はありません。

ただ、

「今日の世界には、こういう現実もありますよ。」

と。

そんなメッセージを、サッカーという世界共通の言語を通じて発信するだけでも、大きな意味があるはずです。

世界中が同じ方向を向く機会は、そう何度もありません。

だからこそ、その莫大なエネルギーを試合の勝ち負けだけで終わらせてしまうのは、少しもったいない気がしています。

ワールドカップは、優勝国を決める大会であると同時に、世界をほんの少しだけ前へ進めるきっかけにもなれる。

2026年大会を振り返りながら、そんな未来のワールドカップを見てみたい。

そんなことを思ったのでした。

最後に

僕の力はノミより小さいので世界を変えることはできません。

でも、メキシコにいらっしゃる旅行者にでしたら、こういう現状に少しでも触れていただくためのお手伝いはできます。

それをメキシコ旅行の目的にしなくてもいいんです。

旅行中に見る景色だけでもいいんです。

そこで何を感じていただけばと思っています。

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