旅行とお金。切っても切れない関係
旅行とお金。
切っても切れない関係です。
「旅行に行きたい。でも、お金がない……」
「メキシコで、あそこに行ってみたい! でも、予算が……」
そんな「おカネ」のために、これまでやらなかったこと、できなかったことって、誰にでも少なからずあるのではないでしょうか。
僕にだって当然あります。
初めて自分で働いて買った航空券。
大学生の時、アルバイトでコツコツ貯めたおカネで買った、成田→バンクーバー行きの航空券です。
確か10万円ちょっとだったと記憶しています。
当時の僕にとって、10万円なんてほぼ全財産。(苦笑)
現地で観光するどころか、行って帰ってくるだけで大半のおカネを使ってしまう。
心臓がドキドキ・・・
かなりの時間足踏みした末に、最後は「エイやっ!」と買ったのを覚えています。
もしあの時、その10万円を出し惜しんで、飛行機に乗らず、日本から出ていなかったら、もしかしたら今メキシコにいないかもしれませんから。(汗笑)
僕が旅にお金を使ってきた理由
ただですね、今思い返してみると、僕の場合「おカネが理由で諦めた旅」って、実はあまりないんです。
僕がお金持ちで、お金に糸目をつけずに、どこにでも不自由なく旅行できた、という意味ではありません。
僕の実家はお世辞にも「金持ち」とは言えず、経済的には平均以下の家庭でした。
という状況もあって、おカネを使う時はいつもドキドキしながら、なけなしのおカネを払っていました。
ただ、自分が本当に行きたい場所、やってみたいことには、できる限りおカネを使ってきました。
限られたおカネだからこそ、自分にとって本当に価値のあることに使いたい。
そんな考え方が昔からあったのだと思います。
ちなみに、これまでの僕の旅のスタイルはいつも「冒険型」。
ガイドブックやテレビ、今ならインスタで紹介されるような、いわゆるキラキラした観光地には、あまり惹かれないんです。(沈)
もちろん、食わず嫌いというわけでもありません。
人生の半分ほどをアメリカ大陸で過ごしてきましたし、カナダやアメリカの主要都市も、ほぼ一通り訪れたつもりです。
僕が旅で大切にしているテーマは、いつも「現地没入」。
限られた時間とおカネの中で、いかにその土地の人々の生活に触れられるか。
観光名所を次々と巡るよりも、その土地の日常に入り込むことの方が、僕にとっては魅力的なんです。
だから、カナダを自転車で5千キロ走ってみたり、メキシコの田舎を歩いてみたり、キューバでホームステイしてみたり、日本を車でグルグル回ってみたり。
そんな旅を好んできました。
豪華なホテルに泊まらなくてもいいし、有名なレストランで食事をしなくてもいい。
その代わり、「これは経験してみたい!」と思ったことには、できるだけ妥協しない。
要するに、僕にとっての旅の価値は、必ずしも金額に比例しないんです。
そして今回、その考え方を改めて実感する出来事がありました。
それが、ネパール旅行です。
たった4時間に90万円。それでも行ってよかった理由
僕の自己紹介ページにも書いていますが、ネパールは、いつか訪れてみたい国の筆頭でした。
そして今回、そのネパールを父と一緒に訪れる機会に恵まれました。
父には、長年の夢がありました。
それは、ヒマラヤを見ること。
だったら、せっかくネパールまで行くのだから、その夢をできる限り叶えたい。
そこで選んだのが、ヘリコプターでエベレストベースキャンプへ向かうツアーでした。
もちろんもっと「安い」方法はありました。小型機で1時間ほどかけて回るツアー。3万円ぐらいだったと思います。
ヘリコプターでも、着陸せずに飛ぶだけなら10万円は安かったと思います。
ただ僕は、こういうことには妥協できない性なんです。(苦笑)
カトマンズ発着で、所要時間はわずか4時間ほど。
そして、そのために使ったおカネは、約90万円。
どうでしょう。
もう一度言います。
4時間で90万円。(2人で)
行き帰りの飛行機代を含めれば、120万円です。
このヒマラヤ4時間のために120万を投入。
ヘリだけでも単純計算すれば、1時間あたり22万5千円です。
たった1時間で、新卒のお給料1か月分が飛びます。
この数字だけを見れば、普通は「高い!」と思いますよね。
僕だってそう思います。(笑)
90万円あれば、ほかにどれだけの旅行ができるでしょうか。
宿泊費を抑えれば、何週間、場合によっては何か月も旅ができるかもしれません。
ましてや、僕が昔から好んできた冒険型の旅行とは、ずいぶん違います。
それでも、今回はそのおカネを使うことにしました。
なぜか。
それは、今回の旅の目的が、単に「ネパールを観光すること」ではなかったからです。
長年ヒマラヤを見たいと願ってきた父に、その景色をみせ、さらに、登山家たちの聖地に足を着けること。
それが今回の旅で、父にとって、僕らにとって何よりも価値のあることだったんです。
もちろん、ヒマラヤは逃げません。
エベレストだって、来年も再来年も、そこにあるでしょう。
でも、父と僕が、今と同じように元気で、一緒に旅ができるかどうかは別の話です。
父は来年80。いつ風呂場で足を滑らせて転ぶかわかりません。
運が悪ければそれで寝たきりになる可能性だってあります。
一寸先は闇。
「また今度行けばいい」
そう思って先延ばしにしているうちに、いつの間にかできなくなってしまうことだってあります。
おカネは、また働いて稼ぐことができます。
でも、過ぎ去った時間を買い戻すことはできません。
ましてや、父と一緒にヒマラヤを見たという経験は、あとからおカネを払って再現できるものでもありません。
今回、ヘリコプターから見たヒマラヤの山々。
エベレスト、ローツェ、ヌプツェ、アマ・ダブラム・・・錚々たるヒマラヤの7000、8000m峰たち。
そして、父と一緒にその景色を見られたという事実。
僕にとって、それらは90万円という金額以上の価値があるもの、いいえ、金額と同列にすら並べられない経験になりました。
ここで一つ、誤解してほしくないことがあります。
僕は、旅行には惜しまずおカネを使うべきだ、と言いたいわけではありません。
安い旅行が悪いとも、高い旅行が素晴らしいとも思いません。
むしろ、おカネをかけなくても、素晴らしい旅はいくらでもできます。
逆を言えば、お金をたくさん掛けたって、いい旅行ができるとは限りません。
大切なのは、その旅が自分にとってどんな価値を持っているのか、ということではないでしょうか。
例えば、同じ90万円でも、山に興味がない人にとっては高すぎる、無駄な4時間です。
一方で、別の誰かにとっては、一生忘れられない4時間になるかもしれない。
どちらが正しいということではありません。
人によって、価値を感じるものは違うのですから。
だから、旅行を考えるとき、金額だけを見て「高いからやめよう」と決めてしまうのは、少しもったいない気がするんです。
その旅で何を経験したいのか。
その何かを経験した後の自分の姿はどんなものでしょう。
誰と、どんな時間を過ごしたいのか。
そして、その経験が自分の人生に何を残してくれるのか。
まずは、そこを考えてみる。
そのうえで、自分にとって本当に価値があると思えるのなら、無理のない範囲で、その価値に見合うおカネを払う。
僕は、それでいいと思っています。
大学生の頃、10万円の航空券を前に悩んでいた自分。
そして今回、“たった”4時間のために90万円、いや、往復の飛行機を含めて120万円を使った自分。
金額は大きく違いますが、判断の根っこにあるものは、実はあまり変わっていない気がします。
「このおカネで、自分は何を経験できるのだろう?」
結局、僕にとって大切なのはそこなんです。
さて、4時間90万円のエベレストベースキャンプヘリツアー。
高かったのか、お得だったのか。
その答えは僕にしかわかりません。(笑)
いくら文字や言葉で説明したって伝わるわけない、それほどスケールがバカでかいものだったのです。
そして、何年か経って今回のネパール旅行を振り返ったとき、きっと思い出すのは90万円という金額ではなく、父と一緒に見た、あのヒマラヤの景色なのだと思います。
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