メキシコには、古代遺跡や世界遺産だけではなく、今も昔ながらの暮らしが残る場所があります。

ユネスコ世界自然遺産テワカン-クィカトゥラン自然保護区のサボテン渓谷と、その周辺に広がる伝統的な塩田もそのひとつ。

巨大なサボテンが立ち並ぶ半乾燥地帯で、数百年以上前とほぼ変わらない塩づくりが、今も静かに続けられています。

メキシコのテワカンークィカトゥラン渓谷にある塩田
塩田での作業体験

今更なぜ塩?

気が付けば、もう6月ですね~。今年も残すところあと6ヵ月。
早い早い。

今日は塩の話。今更何故?って。(笑)

メキシコって塩の産地としても有名です。
「伯方の塩」の生産国、見てください。「メキシコ」となっています。

とは言ってもメキシコ国内には、塩田と呼ばれる場所が100ヶ所以上あり、そのうち8割が海岸線沿いにあります。

ちなみに日本にも輸出されている塩は、ここ👇
バハ・カリフォルニア半島のゲレロ・ネグロという小さな街で作られています。

日本の食塩自給率は15%で、その他は外国の塩に頼っています。その主要な貿易相手国がメキシコというわけです。

ゲレロ・ネグロと言えば巨大な砂丘でも有名ですが、現地に行ったら塩の会社の私有地になっていて入ることができませんでした。(沈)

内陸部の塩田

残りの2割はどこにあるのかというと、海岸線ではなく内陸部にあります。(驚!)

塩と言えば海を連想される方も多いと思いますが、メキシコでは内陸部の製塩も結構盛んなんですね~。

それで、メキシコシティから数時間の場所にも塩田があります。

実は昔(アステカの時代まで)は、今のメキシコシティ一帯は湖でした。

その湖に浮かぶ島に、当時のアステカで知られるメシカ帝国の首都が置かれ、それがスペインに引き継がれ、独立後はメキシコの首都として使われ続けています。

アステカのテノチティトラン
500年前のメキシコシティ中心部

つまり今は湖はありませんが、500年以上前には水が存在していました。
その一部が南のソチミルコや北部のスンパンゴ湖として残っています。

当時の湖は、塩水と淡水が混じる湖でした。

淡水は南部のソチミルコ一帯と、テノチティトラン(現在のメキシコシティ中心部)の西から湧き出ていました。
そのため「チナンパ」という農業が発達しました。

ソチミルコのチナンパ地帯
ソチミルコのチナンパ地帯

一方でその他の地域では塩水が出ており、中部でも東側や北部では塩水でした。

なぜ塩水が出るのか?

地下に岩塩層があるためです。
太古の昔、この一帯は海底だったと考えられています。

現在メキシコシティ近辺では製塩所はほとんど見かけませんが、一歩外に出ると、500年以上前とほぼ同じ方法で製塩を続けている場所があります。

その一つがサポティトラン・サリーナスです。

テワカンークィカトゥラン渓谷の塩田
塩田

以前にもご紹介していると思いますが、オアハカに行かれるお客様にはほぼ必ずお連れしている場所です。

この一帯にはいくつもの塩田があり、それぞれに所有者がいます。

サポティトランの製塩の歴史は紀元前600年頃まで遡ると言われています。

この地域はシエラマドレ・オリエンタル山脈により、メキシコ湾側からの湿った空気が雨を降らせ、その後乾いた空気が流れ込むため降雨量が少ないのです。

しかし少し東に行くと、緑豊かな地域に変わり、植生が大きく変化します。

近くのテワカンという街はその境に位置し、東西で降雨量が変わり、南北で気温差が大きいと言われています。

水と塩の歴史

テワカンークィカトゥラン渓谷の塩田
塩水が湧き出る井戸

サポティトランでは、当時の人々は飲料水を探して地面を掘ったところ、真水ではなく塩水が湧き出たと言われています。

真水は北の方へ行くと得られたようです。

それぞれの井戸で塩分濃度がかなり異なり、高いとこだと70%もの高濃度の塩水です。様々な濃度を混ぜ合わせて塩づくりをします。

昔の塩づくり

テワカンークィカトゥラン渓谷の塩田
古代の塩づくりの痕跡

製塩技術は長い年月をかけて進化してきました。

その証拠として、塩田付近には大きな壺のような遺物が残っています。
これで水分を蒸発させていたと考えられています。

また、型を使ってレンガ状に固める方法もあり、「Pan de Sal(塩のパン)」と呼ばれていました。

この地域は半乾燥地帯で作物が育ちにくく、当時の人々は塩を作物と交換する手段として利用していました。

製塩のピークは1200年以降、アステカ(メシカ帝国)繁栄以前から続いていたと考えられています。

塩づくりの歴史と遺跡

テワカンークィカトゥラン渓谷の塩田
ポポロカ文化の遺跡

近くには遺跡もあります。

日本ではほとんど知られていない遺跡ですが、この都市跡と製塩の関係はAD900年頃から続いていたと考えられています。

今ではどこにでもある「塩」ですが、この地域の歴史においては非常に重要な存在であり、現在まで受け継がれています。

しかしこの伝統は途切れる危機にも直面しています。

後継者不足です。

塩だけで生計を立てるのが難しく、若者は都市へ出てしまいます。

近年では有名シェフたちが注目し、高級レストランでもサポティトランの塩が使われるようになっています。

塩づくり体験のおすすめ~

メキシコの塩田, テワカンークィカトゥラン渓谷
塩田での作業体験

そんな伝統ある塩田で、少しだけ働いて汗を流してみませんか?

時間は30分でも1時間でもお好きなだけご体験いただけます。

さらにせっかくなら、ユネスコ世界自然遺産「テワカン-クィカトゥラン自然保護区」の壮大な景色もご案内できます。

秘密の展望台からはサボテン渓谷を360度見渡せます。

テワカンークィカトゥラン渓谷の塩田
テワカンークィカトゥラン渓谷を一望できる

メキシコのサボテン渓谷

ぜひぜひ、ご体験ください~

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